CBD製品の販売を行うC&Hでは、CBD含有のVAPE(電子タバコ)のブランド「RICHILL(リッチル)」を展開している。2019年6月のブランド展開開始以来、累計6万人のユーザーが、「リッチル」の製品を購入したという。現在は、インフルエンサーにPRを依頼するなどして、新規顧客を少しずつ獲得しているという。同社では、CBD素材の安全性の評価方法や、CBD製品の製造技術に関する研究開発への投資も行っている。「今後、当社が作った製品で業界を変えていくために、長期スパンで研究開発を行っていく」と話す、岩間洸汰社長に、「リッチル」の展開と、研究開発の内容について聞いた。
フレーバーが人気の秘訣
――CBD製品の通販事業について聞きたい。当社は2019年にCBD製品をECで展開し始めた。現在は、CBD入りのVAPE(電子タバコ)の「リッチル」が主力商品となっている。
CBDはリラックス効果につながるという側面から、サウナと相性がいいと言われている。当社の商品も、サウナファン向けに開発したものが多い。
「リッチル」からは、ブドウや白ブドウ、梅しそなどの定番のフレーバー8種類を展開している。そのほか、季節限定のフレーバーも都度発売している。
自社ECサイトの売り上げが9割を占めている。
コロナ禍になった当初は、当社のVAPEの製品のニーズが急速に高まった。コロナ禍の自宅で過ごす時期と同じタイミングで、CBDのブームが到来。興味を持って当社のECサイトに来訪する人が増えた。
ピーク時は、月間2000~3000人の新規顧客が、当社のECサイトで商品を購入してくれていた。
2019年から現在まで、累計6万人に、「リッチル」の製品を購入してもらった。その中で、アクティブユーザーは4万人に上る。アクティブユーザーは都度購入の形で、定期的に商品を購入してくれている。
「リッチル」の人気の理由の一つは、多彩なフレーバーにある。「ミルク金時味」など、和をテーマにしたフレーバーも開発しており、味を楽しむために買ってくれる人が多い。
当社が事業を開始した2019年当時は、CBD製品といえば、草っぽい独特の香りがするものが多かった。
当社の製品は、親しみやすい味でCBDを感じてもらえるのが、人気の秘訣だと考えている。
インフルエンサーにPR依頼
――CBD製品は、グーグルをはじめとしたウェブ広告が打てない。どう集客しているか?ECサイトへの主な集客手段としては、①オーガニック検索 ②紹介や口コミ ③インフルエンサーによるPR――の3つがある。
インフルエンサーについては、どのインフルエンサーに依頼するかが大変重要になっている。CBD製品のPRを嫌がるインフルエンサーも少なくない。
積極的にPRしてくれるインフルエンサーと関係を築いている。インフルエンサーの投稿の表現が薬機法に違反しないよう、事前に当社の弁護士がチェックもしている。
広告については、世界中で、少しずつだが、緩和される動きが出てきている。日本でも、広告の出稿が可能になれば、もっと大々的に広告を打っていきたい。
法改正でインパクト大
――2023年中に大麻取締法が改正され、CBD製品の流通が拡大する可能性があるが、どう見ているか?2023年秋ごろになりそうという意見もあるが、2024年にずれ込むのではないかという見方もある。こうした法律の改正は、後ろ倒しになることが多いと考えており、今年中の成立には期待していない。
もし、法律が変われば、大きなインパクトになると考えている。国内外の大手企業の参入もあり得る。
市場が拡大した時、当社の製品がもっと知られるようにしたい。そのために、現在CBDの素材やさまざまな製品開発の技術について、研究を行っている。
製品から素材の研究まで
――CBD製品について、どのような研究開発を行っているか?新しいフレーバーの開発や、CBDを使った化粧品の開発など、自社製品のバリエーションを増やしたり、グレードアップしたりするための研究開発を行っている。
CBDの成分そのものの研究や、製造から時間が経った製品の崩壊性試験なども行っている。VAPEやグミなどの摂取の仕方の違いによる、CBDの吸収効率の差などについても研究している。
大学とも共同で研究しており、「HPLC(高速液体クロマトグラフ法)」を活用した、高度な分析ができる専門機器も導入している。
大麻は違法な薬物というイメージがあり、誤解されがちな素材だが、実は地球にとっても人間にとっても有益な素材であることをしっかりと伝えていきたい。大麻素材には、人と地球のストレスを改善するポテンシャルがあると考えている。そのために、研究開発に投資している。
現状は、自社製品に関する研究がメインだが、将来的に、CBDやヘンプ業界をアップデートする素材の開発にも着手したいと考えている。