一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)の代表理事であり、フォースターの代表取締役を務める川連一豊氏は、ECシステム開発を長年手掛けている。実店舗とECの在庫や顧客情報などを一元管理する「オムニチャネル」は消費者には”当たり前”となっているが、まだ対応できない中小事業者は多いと指摘する。今後、対応が必須となる「オムニチャネル」の障壁について川連氏に教えてもらった。
「オムニチャネル」のことを、ここでは商品や在庫、顧客、受注情報などを一元管理できる仕組みとする。米国や中国などではこの「オムニチャネル」の仕組みはかなり進んでいる。日本でもユニクロやカインズ、ニトリ、ビームスといった大手ECではシステム化が進んでいて、顧客はECサイトからどこに在庫があるかを確認できたり、ECサイトの管理者やスタッフは顧客情報を一元管理できているので、確認作業も楽で、両者にとって利便性がグッと上がっている。
一方、未だに在庫の一元管理もできていないECサイト、企業も多くある。私は「オムニチャネル」の仕組み作りは在庫の一元管理が最初の一歩だと考えています。リアルで購入した商品をECサイトで確認できない、またはその逆の、購入履歴の一元管理が全くできてなくてイライラするECサイトもあるが、それよりも先に在庫が分からなければ、そもそも購入できない。
この在庫一元管理ができない理由は企業によってさまざまだが、主な要因は昔から小売りを行っている企業はその時代によって施策を行ってきた結果、巨大な仕組みになっており、そんな簡単には一元管理ができない状態に陥っているケースがある。
もしくは新しく小売りを始めたが、無料、もしくは安価なシステムを採用しているため、外部連携が思った以上に全くできない、想定していなかったというケースが挙げられます。
POSシステムをガチガチに組んでいる企業は、POS側の考え方とECの考え方に大きな違いがあり、この違いについて分かる人材がいないというのがネックになっている。多くは中間システムと呼んでいる仕組みでクリアするのだが、ここの要件定義だけでも相当な時間がかかってしまう。そもそもPOS側とEC側では文化がまったく違うので、ここを理解しないと次に進めない。
時代は明らかに変わっていて、顧客はすでに一元管理できていると思っている。POS側とEC側もお互いに歩み寄って、どうしたら顧客やスタッフの利便性が上がるのかを目指し、オムニチャネルの仕組み作りを行ってもらえればと考えている。