2023.01.18

【EC事業者に聞く! 2023年の戦略】ビビッドガーデン 秋元里奈社長「生産者が評価される仕組み作りに貢献を」


産直通販サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデンの成長が続いている。ユーザー数は75万人、登録生産者数は8000軒、商品は5万品目を超えるなどCtoCのマーケットプレイスとして存在感を高めている。2023年は地域との連携にいっそう力を入れるという秋元里奈社長に聞いた。


定期便として厳選した産直グルメが届くサブスク「食べチョクごちそう便」を開始した。利用者が順調に伸びたことで、マイボイスコムなどによるインターネット調査において、認知度や利用率など6つの部門でナンバーワンを3年連続で獲得した。

地方自治体との連携も強化したことで、当社の事業領域も広がった。生産者の販路拡大のサポートを目的として、地方自治体と65件以上の連携を行ってきた。

CtoCに対し、当社では「産直ECの負」と呼んでいるが、消費者側が感じているデメリットもあり、これをいかに解消していくかが大きな課題になっている。

その一環として2022年11月には、複数生産者の食材を少量ずつまとめて購入できる「まとまる食べチョク便」の実証実験を開始した。定期便についてもユーザーが商品を選ぶ手間を省けることを訴求するのが目的。今後は、ネットスーパーなどと変わらない体験ができるように選んでもらえるECサイトに成長しなければならない。

2023年は、地方銀行や地方自治体を含めて地域との連携を強化する。2022年6月に13億円の資金調達に加え、地方銀行との連携を強化してきた。

生産者のSDGsの取り組みも支援していきたい。商品検索でもSDGsに対するユーザーの関心が高まりつつある。サイト内のSDGsに関する特集を強化していきたい。

エンジニアも積極的に採用している。当社は、できるだけ内製化することで、答えのない課題を解決していくという考えで進めている。社内で知見を貯めていくことが必要と考えており、「産直ECの負」を解消するためには、外部に委託するのでは解決が難しい。

コロナ禍が落ち着いてきている中で、足元では反動が起こっているという印象はない。当社の顧客は主婦が中心でもともと料理好きで、自宅で食事をするライフスタイルは変わらないため、それほど影響はないとみている。ハレの日の商品を充実させることで、外食を控えて自宅で食事をするニーズに応えたい。

コロナ禍を経て、消費者がECで生鮮食品を購入する機会は増えた。ECの購入頻度は低下するかもしれないが、生鮮食品は生活の基盤であり、利便性を感じた人には選択肢の一つとして残るだろう。

ECへの追い風も終わり、淘汰のフェーズに入ってくる。より独自性を打ち出せるかどうかが問われてくる。

また、SDGsや食糧安全保障という観点から、生産量は少ないながらも、こだわった有機農業を手掛ける生産者が評価される仕組み作りに貢献していきたい。




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