2022.11.29

【データに見る「ECの地殻変動」】<第9回>スマホ経由のECが伸びている本当の理由


スマホが衝動買い促進


ところで前述の通りスマホ経由のEC市場規模は7兆円に迫っておりスマホ率も年々上昇しているが、これはスマホの保有率やスマホでのネット利用率の上昇によるものと見て間違いはないだろう。

だが、理由はそれだけだろうか?

スマホでECを行う行為はいわば行動変容。説明可能な「何かしらの消費行動の変化が起きているのでは」とここ数年、筆者は漠然と思っていたところに、Googleが2019年頃から提唱する「パルス型消費行動」というモデルにたどり着いた。

消費行動モデルにはEBMモデルなど学術研究からAIDMAまで幅広い。中身は異なるがそれらは購買に至るヒトの思考が順番に進み行く点が共通している。一方、パルス型消費行動とはあらゆる情報に接する中で思いがけずある、モノの情報を得ることで生じる突発的な購買行動を指す(詳しくは検索いただきたい)。

衝動買いに似ているがGoogleは、衝動買いは非日常的な趣味嗜好(しこう)品の購入に多いが、パルス型消費行動は日常的な商品でも多く見られると説明している。

要するにさまざまな情報に触れる過程で、想定外の買い物が日常茶飯事に起きているということだ。スマホの普及とSNS利用の進行がもたらした消費行動の変化といえるだろう。

楽天のスマホおよびタブレット経由の流通総額比率はすでに8割超。よってEC市場全体のスマホ率には伸び代があると見る。

スマホの普及とSNS利用は不可逆的と考えられるためさらに行動変容が進行するのではないだろうか。結果的にEC市場の活性化につながるのであればパルス型消費行動は大いに歓迎したい。










RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事