2022.11.16

【データに見る「ECの地殻変動」】<第8回>目指すは越境EC版「リアル二刀流」


ASEANに注目


ではどこに目を付けるかだが、筆者は東南アジア諸国連合(ASEAN)に着目している。ASEAN主要6カ国であるタイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピンの小売市場規模を合計すると筆者推計で約110兆~120兆円。

日本の小売市場規模約150兆円(出所経産省)よりやや少なめだがASEAN諸国は経済成長を続けており、近い将来には同じレベルに届くだろう。富裕層も増えていると聞く。つまり日本と同等レベルの消費者市場がもうひとつASEAN域内に存在しているということだ。



そう考えれば日本から見て、越境ECでも十分ターゲットとしての魅力はあるだろう。とはいえ越境ECは、直送型や一般貿易型といったビジネスモデルの選択に始まり、効率的な物流、相手国の法令対応、最適なパートナーの発掘などが必要になる。言語対応や返品対応もしかり。利益確保のための適正な値付けも悩ましく、商標上の落とし穴もあるかもしれない。要するに越境ECでは検討項目が多岐にわたっている点には留意が必要である。

しかし、そのような対応を支援する事業者も国内には多く存在する。コストが見合うかだが越境EC支援事業者の活用もありだろう。

筆者はASEAN向けの越境ECはまだ参入の余地が大きいと見るが、実店舗ですでに進出している小売事業者は多い。ASEAN諸国は大半が親日であることから、小売りとしてのやりやすさはあるのではないか。中国だけに依存せずASEAN諸国も対象に含め、まさに越境EC版の「リアル二刀流」を目指すことが経営の観点から有益と考える。












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