2022.11.01

<「独身の日」予測①>いち早く今年の傾向を分析!Z世代の動向は?【データで分かる中国巨大EC市場<第2回>】


消費の注目株「Z世代」の心をつかめ


ここまで全体の傾向を分析してきましたが、ここからは注目すべき「独身の日」のトピックについて紹介したいと思います。まず1つ目が「Z世代」の消費動向です。

中国では、1990年代後半〜2010年に生まれた「Z世代」が約2億6000万人おり、実に人口の18%を占めています。その消費への影響力は大きなものとなっています。

Z世代の1カ月間のうちに自由に使える金額は、1001~2000元(約2万~4万円)のレンジが最多となっています。



Z世代が「独身の日」に使う金額は、500~999元(約1万~2万円)、1000~1999元(約2万~4万円)が多く占めています。1カ月間の自由に使える金額の大半を「独身の日」に費やしています。

賢い買い物を好むZ世代はクーポンを好んで活用しています。商品ジャンルでは「美容・コスメ」「スキンケア・ボディメイク」「食品」「清掃用品」「アパレル」が人気となっています。

クーポンなどを事前にチェックし、生活に必要な商品を「独身の日」にまとめて購入している姿がイメージできると思います。






なお、「天猫(Tモール)」は今年の「独身の日」を契機に、カートに入れられる商品個数の上限を120個から300個まで増やしています。かなり大量に商品をカートに入れ、まとめて購入できるようになっています。


「独身の日」はSNSも過熱!中国版「金配りおじさん」も登場?!


「独身の日」のSNSの盛り上がりも注目です。自分が購入したものを動画でシェアするユーザーはたくさんいます。

日本でYouTuberが行っている「開封動画」のようなものですね。中には10万元(約200万円)以上も買い物し、その内容を配信している人もいます。中国ではHIKAKINさんのようなトップYouTuberでなくても、一般のユーザーが「独身の日」で爆買いする姿を見ることができます。


▲「独身の日」の購入商品を紹介する配信者(「bilibili」より)

「独身の日」にはZOZO創業者の前澤友作さんのようにお金を配ったり、抽選プレゼント企画を実施したりしているユーザーもいます。


▲「独身の日」に合わせてプレゼント企画を行うユーザーも(Weibo「钱哥」より)

中国全土がショッピングに夢中になる時期を利用し、抽選で当たったユーザーの欲しいものを購入してプレゼントするようなユーザーです。自身のアカウントの「フォロー」や「シェア」を応募条件とすることで、たくさんのフォロワーを獲得できるようです。


今年も同様の傾向、変化を読む力も重要


今年の「独身の日」も盛り上がることは間違いないと思いますが、成長率は緩やかになっていく可能性が高いと思います。セール期間は前年同様ですし、プラットフォームの分散化も進むと思われます。さらに付け加えると、景気の悪化により、特に低所得者層で「独身の日」購入額が伸びない可能性は大きいと思います。

私は中国で地方から出稼ぎに出てきている人たちと同居生活をしていたことがあります。彼らの生活は本当に大変で、景気が上向きの時はまだよかったものの、コロナ禍や物価高のしわ寄せは確実に彼らの生活を脅かしています。このような状況において、「独身の日」であっても財布の紐が緩まない可能性は大いにあると思います。

とはいっても、アリババが「独身の日」の主役であることは変わりませんし、富裕層や中間層を中心に大きな流通が生まれることも間違いないと思います。日本企業は徐々に変化する「独身の日」の動きを読み、自社の販売戦略に生かす必要があると思います。

なお、もし中国向けの越境ECや商品開発にご興味を持たれている企業様がいらっしゃれば、まずはカジュアルにオンラインミーティングにて情報交換致しましょう。


<オンラインミーティングの依頼やお問い合わせはこちらから>
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScVtavJ8ZlEoLBsORZt2ESnB3md5TCiWD8LcIjllPoqQ_KDSw/viewform



<NEXT>「独身の日」直前企画②では売れ筋商品や販売形態の動向を分析します








【著者プロフィール】


▲NEW ORDER 森昭生代表

2008年にフューチャースコープにてIPビジネス(新世紀エヴァンゲリオン関連)のプロデューサーを担う。ガラケービジネスからスマートフォンビジネス転換期を経験。2012年に創業期のメタップスにてゲーム開発、中華圏ビジネス、アプリマーケティングに携わり上場を経験し、40歳を前に2015年11⽉に中国に単⾝渡る。

2016年7⽉に北京でSincetimes(北京華清⾶揚)に⼊社。2017年1⽉より⽇本に帰国し⽇本法⼈の取締役に就任。⽇本の出版、ゲーム、アニメ関連企業とのビジネス開発、アニメ等の原作開発、権利の獲得交渉を担当。中国では⼆次元⽂化の爆発期をリアルタイムで経験。

2018年9⽉よりSHIFTに⼊社。重課⾦ユーザーをテスターにした新規事業やローカライズ事業を⽴ち上げ、多くのクライアントに恵まれる。2020年10⽉、NEW ORDERにて起業。重課⾦ゲーマーとして年間600万円を課⾦した経験もある。


■NEW ORDER
https://neworder.blue/

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