2022.11.01

<「独身の日」予測①>いち早く今年の傾向を分析!Z世代の動向は?【データで分かる中国巨大EC市場<第2回>】

【データで分かる中国巨大EC市場】

<第2回>「独身の日」予測① いち早く今年の傾向を分析!Z世代の動向は?


連載企画「データで分かる中国巨大EC市場」では、食品メーカーなどの中国市場開拓を支援しているNEW ORDERの森昭生代表に、中国人ユーザーの行動データや生の声から分かる「中国EC市場の参入余地」を紹介していただく。第2回では、中国最大のセールイベント「独身の日」の開催が迫る中、過去のデータを元に今年のセール動向や今後の傾向を分析していただく。「独身の日」直前企画は前編・後編の2回に分けて、セールの潮流や商品や販売の傾向について取り上げる。前編である①では、セール全体の傾向や、消費の主役になりつつあるZ世代の動向について森代表に解説していただいた。



1回のセールで「楽天3年分」の流通総額


ご存じの方が多いと思いますが、改めて説明すると、「独身の日」とは中国において毎年11月11日に「光棍節(こうこんせつ)」として祝われる独身者の日のことです。その日にアリババグループ(アリババ)がECセールを開催したことに端を発し、今では中国全土で多くの企業がECセールを行う日になっています。中国最大のセールイベントなのはもちろん、世界最大規模のセールイベントと言っても過言ではありません。

2021年の「独身の日」では、アリババの取扱高が5403億元となり、京東グループ(京東)の取扱高が3491億元となりました。中国の2大EC企業の取扱高だけでも8894億元の規模があります。直近の為替レートの1元=20円で計算すると、その額は17兆7880億円。楽天グループの国内の年間流通総額が5兆円を超えたところだと考えると、実に「楽天3年分」の流通額が、わずか2週間弱で取り引きされるというわけです。


2021年の成長鈍化要因は?


2020年の「独身の日」が一気に流通総額が伸びたのに対し、2021年は前年よりも伸びているものの、成長率がグンと下がったように見えます。アリババの「独身の日」における流通総額は、2020年が前年比85.62%増だったのに対し、2021年が同8.5%増と、伸び率だけ見ると10分の1となっています。



アリババの「独身の日」における成長鈍化の背景には、いくつかの要因があります。まず挙げられるのが、中国国内での新型コロナウイルスの感染拡大の影響です。中国でもコロナ禍に巣ごもり需要が大きく拡大し、ECの利用をさらに促進しました。2020年の「独身の日」はその追い風を大いに受けたと思います。一方、2021年にはその風は弱まっていました。


2020年からセール期間が拡大


もう一つの背景は、セール期間です。2019年までアリババは「独身の日」を11月11日の1日限定のセールとして実施していました。2020年からは11月1〜11日をセール期間とし、決済も1〜3日と11日の2回に分けて実施しています。セール期間を拡大することで、新規出店ブランドや中小企業により多くの販売機会を作るのが狙いのようです。2021年も同様の期間でセールを実施しており、2020年と変化はありませんでした。

セール期間が長くなったことで、予約販売からセールの販売期間における戦略が変わってきます。予約販売から顧客の心をつかみ、延長されたセール期間で山をいくつ作れるかが、売り上げを最大化させるカギとなっているようです。セール期間や予約販売の傾向は、今年の独身の日も変わらないと思います。今年のアリババの「独身の日」では、予約販売が10月24日からスタートしています。




プラットフォーム分散化の傾向


「独身の日」の流通が、アリババ以外に流れているという見方もあります。現に2021年の京東の流通総額は同28.5%増と2桁成長を継続しています。

当社の調査でも2021年の「独身の日」で利用したプラットフォームを訪ねたところ、アリババの「淘宝網(タオバオ)」「天猫(Tモール)」に匹敵するぐらい、京東の「JD.com」が利用されています。



さらに、共同購入型ECプラットフォーム「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」やTikTokの中国版である「抖音(ドゥイン)」を活用している人もかなりいます。「独身の日」において、アリババ以外のプラットフォームが台頭している点も、アリババの成長鈍化の背景にあるでしょう。

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