──そのほか導入のメリットは?ECでもデジタルコンテンツでも、カゴ落ちリスクが低減される。サイトに集客しても最後の決済手段が最適化しないと購入に結びつかないこともある。
デジタルコンテンツの決済手段についての調査によると、希望する決済手段がないことによるサイト離脱が7割という結果もある。ECも同様に、決済手段を充実させないとカゴ落ちリスクが高まることが分かっている。実際に導入してクレジットカードを持っていない層からの購買が増えたことにより、20%売り上げが純増したサイトもあるようだ。
また、セキュリティー上の不安から、クレジットカードを利用したくないという層も一定いる。一方で、購買意欲の高い時にすぐに決済したいニーズもあることから、後払いが利用される。企業の中には、「atone」を導入してほしいというユーザーの要望を受けて決めたところも出てきている。
──会員登録が障壁になるのでは、という懸念の声もあるが。通常の通販サイトを利用する場合、購入者情報を入力する。そのサイトで「atone」を利用する際は、すでに登録されている情報をそのまま利用して会員登録できるため、新たに情報を入力する必要はない。
化粧品ECのバルクオムでは、月でまとめて支払うことができる点を魅力に感じて導入した。導入後は、会員登録が必要な決済手段のため、購買率の低下を懸念していたが、結果的に全く低下しなかったようだ。
──今後の展開については?4月から、「NP後払い」と「atone」のインターフェースを共通化することで、どちらかを導入すれば新たな開発をする必要がなくなる。また、ログイン機能を付加することで初めて利用する店舗であってもスムーズに情報入力と決済を完了できるようにしたい。
【きくち・くにゆき氏】2016年に新卒入社。入社1年目からサービス立ち上げ期の「atone」に配属。2018年からatoneの実店舗決済のサービス立ち上げリーダーを担い、同年にはサービスを一般公開した。2020年には事業統括責任者として、サービスグロース・組織づくり全般を担う。