2022.02.11

【コラム】IT部門はいかにして試練の時を乗り越え、その存在意義を再発見できるのか?

ITリーダーはデジタルトランスフォーメーションの加速によって、ビジネスの最前線に

私たちは日々の生活の中で、誰もが課題を抱えています。課題の中身や大きさはさまざまですが、どんな場合でも共通して言えることは、「無視することは、課題の解決にはならない」ということです。私たちの誰もが、いつでも、自分の存在意義や、自分自身を失う可能性があります。セラピストが「深刻な問題から回復するための最初一歩は、課題を抱えていることを認めることだ」とアドバイスするのも、そのためです。
 
もしかすると、大企業の担当者には、このようなことはあえて説明するようなことではないかもしれません。しかし実際には、大企業の中にも、課題を直視し、同じ過ちを繰り返さないことが最善の行動であると認識しているにもかかわらず、組織全体で課題を埋没させ、存在しないかのように装おうとする行動が散見されます。

残念なことに、このような課題はIT部門で起こることが多いのです。これらの課題の多くは、あらかじめ起こることがわかっています。その多くはIT部門だから起こることではありません。

近年、IT部門は、私たちの生活様式の変革によって、かつてないほど注目を浴びるようになりました。その結果、かなりの変化と困難に直面することとなりました。
 
先日、シニアのIT部門の意思決定者を対象に実施したグローバル調査では、彼らが直面している課題の全容が明らかになりました。全回答者の51%が、自らが所属するITチームが、今後5年間で、「企業・組織に対してポジティブな変化をもたらすことができるかどうか確信が持てない」と回答しました。また、17%は「まったく確信が持てない」、または、「大きな疑問を抱いている」と回答しました。つまり、これらの課題によって、IT部門は、最善の努力にもかかわらず、意欲を失っただけでなく、二度と意欲を取り戻すことができない状況に置かれていたのです。

問題は社内の自信喪失にとどまりません。IT部門の意思決定者への監視の目が厳しくなるにつれ、多くの人がテクノロジーを使って問題を解決しようとしました。しかし、残念なことに、これが問題をさらに悪化させるケースもあります。不適切な意思決定により、IT部門は毎年何百万ドルもの無駄遣いをしています。回答者の58%は、過去5年間において、「100万ドルから1000万ドルの費用を誤ったITソリューションに投資した経験がある」ことを認めています。また、過去5年間で「すべてのIT投資が報われた」と回答したのはわずか12%でした。

IT部門をセラピストのソファに座っている患者に置き換えて考えみましょう。神経質な人が、自信を持てずにもがき、かつてないプレッシャーの中で常に我慢して立ち上がろうとする悪循環に苦しんでいるようなものかもしれません。しかし、それは間違っています。興味深いことに、今回の調査ではまったく別のことが判明しました。それは、IT部門が、過去の失敗から教訓を得て、今後数カ月から数年の間に、進化と改善を遂げる準備をしている、というものです。
 
当然のことながら、今日ほど、企業・組織が現状を把握し、アプローチを再評価し、失敗から学ぶために適した時期はありません。世界規模のパンデミックは、働き方に変革をもたらしただけではありません。パンデミックは、これまでにない方法で、すべての人が機能できるような働き方に変わるのに、重要な役割を果たしました。

現在、ITリーダーはデジタルトランスフォーメーションの加速によって、ビジネスの最前線に立たされています。IT部門は、組織内の多くの人たちが、クリエーティブでコラボレーティブに業務を遂行することを支援しています。組織内のそれぞれのチームは、自分達が最も価値を高めることができるツールと機会を与えられれば、組織に戦略的価値を提供できることを認識しています。
 
続く

 
【著者プロフィール】
ドン・シューマン 
Pegasystems Inc. 最高技術責任者 兼 製品マーケティング担当バイスプレジデント 



プラットフォーム製品と CRM アプリケーションを担当。Fortune500 に名を連ねる企業に対し、デジタル・トランスフォーメーション、モバイル、分析ツール、BPM、クラウド、CRM といった領域で、20年にわたり、ソフトウェア・ソリューション を提供してきた。アメリカン・エキスプレスやシティバンク、JP モルガン・チェース、 BP といった Fortune 500 企業のマネジメント層、技術担当役員などへ、技術面、アーキテクチャ 面でのコンサルティングを行い、エンタープライズ・ソフトウェアの導入を牽引してきました。 ボストンカレッジにて物理学と哲学の学士号を取得している。



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