2024.04.29

【インタビュー】Forter マイケル・ライトブラットCEO「不正購入は生成AIで巧妙化 不正対策は喫緊の課題」

Forter マイケル・ライトブラットCEO


ECの不正購入は世界規模で拡大・巧妙化している。ECサイトの不正検知サービス分野のリーディングカンパニーであるForter(フォーター)によると、2023年は、「過去1年間で詐欺・不正攻撃の件数が増加している」と報告する企業が特に多かったという。米国では、2023年のECポリシーの悪用の被害額は、1010億ドル(約15兆円)にも達したとしている。Forterのマイケル・ライトブラットCEOは、「不正購入は、生成AIによって巧妙化しており、不正者の人口が増えている。対策は喫緊の課題だ」と話している。



犯罪のプロでなくとも巧妙に


—―不正購入のトレンドについて聞きたい。


1年前と比べて、ECの不正利用の件数がさらに増加し、高度化している。

理由としては、EC市場の規模が拡大していることがある。規模の拡大に伴い、被害件数も拡大している。

生成AIを使った不正利用の手口が増加している。不正に関して知識のない素人でも、高度化した不正を行うことができるようになっている。

例えば、ECサイトのチャットの問い合わせを生成AIに行わせるようなシステムを不正者が開発し、返品のポリシーなどを悪用している。購入した商品の問い合わせで、AIを通じて、①「商品が届いていない」などとECサイトに連絡し、代わりの商品を再度送付させる ②最初に送った商品を、フリマサイトなどで転売する――といった手口だ。着用済みの商品を返品するといったケースもある。

こうした被害が、全世界的に拡大している。

全米小売業協会によると、2023年のECサイトの返品などのポリシーを悪用した被害額は、1010億ドル(15兆円)にも上ったという試算がある。不正利用に関する対応で、企業は収益の2%を失ったというデータもある。


年間45兆円以上の決済を処理


ーー不正検知サービス「Forter」を導入するメリットは何か?

「Forter」のシステムの最大の特徴は、特許を取得している、独自のAIを使って行う、不正判定の精度の高さにある。当社では現在、世界全体で、年間45兆円以上の決済を処理しており、16億人以上のヒトの注文を監視している。膨大な量の不正な注文に関するデータを随時蓄積している。日本国内でも、これまでに5000万人以上のユーザーの検知を行ってきた。

当社では、「フルアイデンティティーインテリジェンスプラットフォーム」と呼んでいる。ECサイトの購入者が、最初にECサイトにアカウントを登録する時点から、ユーザーの情報や振る舞いを監視している。そのため、不正者にアカウントが乗っ取られたときに、すぐに判定することができる。

つまり、ユーザーのアイデンティティーを特定することができるのだ。

当社のサービスを使えば、生成AIを使ったチャットも、不正だと検知できる。

――日本国内のEC市場について、どう考えるか?

日本特有のガラパゴス化した市場が徐々になくなりつつあり、外国人でもストレスなく日本のECを利用できるようになっている。だが、不正者はその変化を敏感に感じ取っており、不正者にとって攻撃しやすくなっている。

日本では、コロナが収束し、外国人旅行客が増えている。その影響もあり、日本特有の買い方や決済手段が、徐々に解消されつつある。

例えば、日本では、ECサイトで商品の配送先を入力する際、都道府県などを選択する。海外ユーザーは、配送先を選ぶことができないケースがあった。

こうした問題への対応が、最適化されつつある。

ECサイトが海外ユーザーにとって使いやすいものになれば、海外の不正者の攻撃の対象になりやすくなる。グローバルの不正者の攻撃の手口は高度化しており、最新の情報を知っていないと、対応できなくなるだろう。日本の事業者は大きな脅威にさらされている。

だからこそ、日本でも、「Forter」のニーズは高まっていくと考えている。

当社のシステムは、創業した2014年から、「AIネイティブ」だ。AIを活用した開発を常に行っている。

当社は、年間45兆円以上のトランザクションを保護している。AIによる機械学習は、規模が大きければ精度が高まる。

日本のEC事業者には、今後も増加していく、高度化した海外の不正者への対策として、最新の不正を検知する「Forter」の導入を検討してもらいたい。







RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事