2024.03.21

「eBay」、2年連続でカメラ販売「シュッピン」が最優秀セラー 2023年の国内セラーGMVは2桁成長

「eBay Japan Awards 2023」受賞企業

世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay(イーベイ)」への出店を通じ、日本セラーの越境ECを支援するイーベイ・ジャパンは3月18日、2023年度に優秀な成績をあげた日本のセラー(販売者)を表彰する「eBay Japan Awards 2023」受賞企業を発表した。年間最優秀セラーを表彰する「セラー・オブ・ザ・イヤー」はカメラ販売のシュッピンが2年連続の受賞となった。

イーベイ・ジャパンは、eBay Inc.の日本法人として、オンライン・マーケットプレイス「eBay」を通じた日本セラーの越境EC支援を展開している。イーベイ・ジャパンの岡田雅之代表は、「国内EC市場は2023年、苦しい市場成長だったと思うが、国内セラーの『eBay』における総流通額(GMV)は二桁成長なっている」と好調を語る。


▲イーベイ・ジャパンの岡田雅之代表

米・eBayのファッションカテゴリー最高責任者のチャリス・マルケス氏も表彰式に駆け付けた。マルケス氏は、「eBayのビジョンはファッションの本拠地になるということだ。そのためには信頼性が高い商品、独自性のある幅広い品ぞろえ、すばらしい顧客体験が必要だ。日本がまさにそういった課題の解決に貢献できると思っている。日本セラーの商材の品質や独自性、そして誠実なご対応がある。eBayが世界ナンバーワンになるためには、日本の皆さまの協力が必要だ」と語った。


▲米・eBayのファッションカテゴリー最高責任者のチャリス・マルケス氏

このほど、日本のすべての「eBayセラー」(販売者)を対象に、2023年の販売実績やバイヤー(買い手)評価、年間での成長率、商品カテゴリーごとの成績などを選考基準に、優秀なセラーを選定し、表彰する「eBay Japan Awards 2023」受賞企業を発表した。

2023年は、最優秀賞である「セラー・オブ・ザ・イヤー」を中心に6つのアワードで構成され、延べ16社(者)の多彩なセラーが選ばれた。受賞社(者)には、「eBay」内の自社ストアやeメール署名に飾ることができる「eBay Japan Awards 2023」受賞セラーの証「Awardバッジ」が等が授与される。


シュッピンは「顧客満足度アワード」も受賞


総合的評価トップのセラーに贈られる最優秀賞「セラー・オブ・ザ・イヤー」は、カメラ専門店「Map Camera」を展開するシュッピンが受賞した。シュッピンは、「カテゴリーグロースアワード」のカメラカテゴリー、新設となる「顧客満足度アワード」も受賞し、アワード創設以来初となる3冠を達成した。

シュッピンのグローバル戦略部長 小野新平氏は、「トレンドとしてはここ1年でフィルムカメラからデジタルカメラに移行している。スマホ以外で本格的なカメラで撮影したい人が増えているように感じる。平均単価も徐々に上がっている。今回、うれしいことに『顧客満足度アワード』も受賞できた。お客さまが商品を選ぶときにどういうところを見るのか、お問い合わせにどう回答するのが良いのか、個別の要望をどうくみ取って実現するか、をチームのメンバーと話し合いながら取り組んできたことが良かったと思う」と話す。


▲シュッピンのグローバル戦略部長 小野新平氏

インバウンドの拡大における影響については、「実店舗は多いとき、お客さまの半数以上がインバウンドになってきている。eBayをご利用いただいたお客さまが来店し、『eBayでいい経験をした』とお褒めの言葉をいただくこともある」(小野部長)と語る。


新人賞・槇田氏「中古品が高く売れる『eBay』に魅力」


2022年以降にeBayで販売をスタートし、最も売り上げを伸ばしたセラーに贈られる新人賞「ニューセラー・オブ・ザ・イヤー」は槇田晴吾氏(個人)が受賞した。

槙田慎吾氏は、「昨年、会社を辞めて『eBay』専業になった。主に中古ゴルフ用品を海外に販売している。以前、国内のEC販売会社に15年間くらい勤めていたことがあり、物販のノウハウについては勉強していた。その経験を海外向け通販にもってきて、うまくいった。単価の高い商品を扱うことが効率的だと考えていて、それを実行した。日本で中古品を売るよりも『eBay』で海外で売る方が高く売れていると分かり、そこが魅力的だと感じて『eBay』に出品した。日本の中古品は程度がいいので、海外の顧客に喜ばれる。国内のゴルフ用品の中古品はたくさんあるので、そこにも魅力を感じた」と話す。


▲槙田慎吾氏

「eBaymag」を活用して多国展開に挑戦し、USサイト以外での売上を伸ばしたセラーへ贈られる「eBaymag アワード」はThe Current、広告ツール(PLS/PLA/Offsite ADs)を駆使して最も売上・露出を伸ばしたセラーへ贈られる「ベストマーケティング アワード」はBRICKS Internationaが受賞した。


大網は越境ECが全体売上の50%に


注目する11のカテゴリーで目覚ましい成長率を記録し、他セラーの手本となる販売活動によって高い顧客満足度を獲得したセラーに贈られる優秀賞「カテゴリーグロースアワード」は、JFA(ハンドバッグカテゴリー)、aonohappa(時計カテゴリー)、コメ兵(ジュエリーカテゴリー)、リフォート(スニーカーカテゴリー)、コレクト(コレクティブル・カードゲームカテゴリー)、大網(アニメグッズカテゴリー)、MondoLife(ビデオゲームカテゴリー)、Laffey(自動車パーツカテゴリー)、シュッピン(カメラカテゴリー)、槇田晴吾氏(個人/スポーツ用品カテゴリー)、レイ氏(個人/楽器カテゴリー)がそれぞれ受賞した。

アニメグッズカテゴリーの「カテゴリーグロースアワード」を受賞した大網の広報PR室 統括 岩永梓氏は、「当社は国内最大級のホビー専門通販『あみあみ』を運営している。越境ECは15年前から実施しており、全体の売り上げ規模が400億円くらいあるが、昨年初めて海外比率が50%になった。秋葉原の実店舗にも海外顧客が多く訪れている。メーカーとの直接の関係性を築くことで、海外限定商品を販売させていただいたり、当社限定の商品や特典を提供したりすることができている」と話す。


▲アニメグッズカテゴリー「カテゴリーグロースアワード」を受賞した大網のアンガ・スプラヨギ氏(写真左から2人目)

越境ECは自社ECサイトと「eBay」の2チャネルで展開している。その違いについてeBay販売統括 アンガ・スプラヨギ氏は、「売り上げの比率でいうと自社ECサイトの方が高いが、『eBay』とは客層が異なっている。自社ECサイトはアニメのお宅の方が多い。一方、『eBay』は新規顧客やライトな顧客、コレクティブなものを探しているお客さまが多い」と話す。


国際配送やAI翻訳が飛躍的に進化


2023年のトレンドについて、イーベイ・ジャパンの岡田雅之代表は、「国内セラーの『eBay』における総流通額(GMV)は二桁成長と背景には、もちろん円安の影響もあるが、それよりもセラーの皆さまのパワーアップが著しかった。世界の市場から日本の製品がより求められていることも背景にある。昨年末に真贋鑑定の配送センターをアジアで初めて日本に設立した。公式の配送ソリューションも強化している。米国向けに加えて、欧州向けに展開したいという相談も増えている。2024年は日本のプレゼンスが『eBay』を通して世界に広がっていく年になると思う」と語った。

カテゴリーマネジメント部 部長 北村直樹氏は、「2023年は米国の経済状況がそんなに良くなかったこともあり、年初は厳しい状況だった。多国展開ツール『eBaymag』などを導入することで市場を拡大するとともに、フォーカスしているカテゴリーを強化したりすることで、2桁成長を達成した。コロナが終わり、セラーとどうエンゲージメントしていくかが、課題となった。地方を回り、セラーと会ったり、昨年から『eBay Japan Awards』をオフラインで開催でき、多くのセラーの声を直接聞くことができた」と話す。

今回のアワードの受賞企業の傾向については、「今回に限ったことではないが、単発的にアクセルを踏むというのではなく、毎日こつこつと業務をしっかりやっていただいているセラーが伸びている。『eBay』というプラットフォームがアカウントを育てていくというイメージがある」(北村部長)と話す。

越境EC市場は円安などの追い風もありながら、まだまだ参入企業が少ない状況について尋ねると、「数年前よりはすごく環境は良くなっている。クーリエ(国際宅配便)さんのご尽力もかなり後押しとなっている。バイヤー(購入者)とのやり取りもAIで簡単に翻訳して返答することもできる。そういうサービスをうまく活用している事業者は越境ECに積極的に取り組んでいただいている。ただ、やはり海外に向けてということで怖いと感じている事業者もまだいるとは思うが、その感覚も徐々に変わってきていると感じる。当社への問い合わせがすごく増えていて、これから越境ECに取り組む事業者がどんどん増えていくと思う」(北村部長)と話す。

岡田社長も越境ECの参入障壁について、「言語、物流、文化の3つの壁があると思う。物流については、配送ソリューションはより簡単に、より進化している。東京を午後5時に出発した商品が翌日にはニューヨークに届く。米国のセラーよりも日本からの方が早く届くと喜ばれている。言語についてはChatGPTなどAIで翻訳できるサービスがいくらでもある。文化の壁は、引き続きチャレンジが必要だ。日本の事業者は奥ゆかしいとこもあり、海外にどうチャレンジしていくかをしっかりと支援していきたい。当社もカスタマーサポートが手厚いと思う。トラブル解決だけではなく、こういう時はどうしたらいいかという相談にも乗る。文化の壁を超えるお手伝いをより強化し、『越境』という言葉がなくなる世界にしたい」と語る。






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