2023.12.08

【インタビュー】ユミルリンク 渡邉弘一取締役 「メール配信とSMSの相乗効果で成果」


阪急阪神東宝グループで、メール配信システム「Cuenote(キューノート)FC」を提供するユミルリンクの業績が好調だ。2023年第3四半期も増収増益を続け、過去最高を更新している。マーケティング本部・ゼネラルマネージャーの渡邉弘一取締役に、好業績の背景について聞いた。



──コロナ後においても業績が好調に推移している。

第3四半期は売上高が前年同期比5.4%増の17億900万円、営業利益が同15.1%増の4億2800万円となり、それぞれ第3四半期業績では過去最高を更新した。

「メール」の売上高は同9.6%増の14億7400万円。月間メッセージ数は70億通を超えて推移している。月間解約率は平均0.37%と引き続き低い水準だった。「SMS・Auth」は、新規契約が増えたものの、前年度の特定顧客の配信数が減少し、売上高は同18.4%減の1億9100万円だった。
 
利用契約数も現在2200まで伸ばしているほか、コロナ後でもメッセージの送信数は減らずに伸ばしている。企業のデジタルシフトが大きく後押しした格好だ。

ECの顧客数が多い一方で、通販・EC企業が顧客のお知らせや出荷通知でSMSを活用する事例が増えてきた。メールだとさまざまな通知が来ることで正しく通知することが難しい。また、通販企業のバックオフィス業務で、返品のようなコールセンターから音声で伝えづらいようなケースにSMSを活用する企業も出てきている。

通販企業の中には、優良顧客向けの告知にSMSを使用するところも出てきた。ファッショECでは、サイズ違いで返品・交換という業務が発生する。これまでは電話などで対応していた企業では、メールとSMSを組み合わることで、コールセンターの業務負担の軽減にもつながっているようだ。おそらく、企業に対して送付確認に関する問い合わせが一定程度あることで、業務負担が増しているという背景もありそうだ。

──LINEを多用する企業も出てきた。

当社はこのほど、DXソリューション事業、コンテンツ事業を手掛けるライトアップと共同で、メールマガジン(メルマガ)とLINEに関する共同調査を実施した結果、登録のきっかけについて「クーポンがもらえるから」という理由がともに1位となった。LINEのほうがクーポン利用の目的が強い一方で、情報収集を目的とした登録理由はLINEのほうがメルマガよりも軒並み低い結果となった。

年に数回しか使わないところからLINEで通知が来ても結果的にブロックしたという経験があると思う。一部のLTVが高い顧客以外へのアプローチはLINEでは難しく、情報を伝えるということで言えば、メールのほうに優位性がある。

──シニア世代を抱える通販企業の傾向はどうか?

当社のサービスを利用する企業にヒアリングすると、LINEよりメールで通知したほうが購買単価は高いという傾向があると話していた。シニア世代にとってもLINEは連絡ツールになっており、企業のマーケティング活用には難しいところがあるのかもしない。

──今後の事業展開については?

2024年以降は新しいチャネルの開発を予定している。メール配信に加えて、SMSを拡販することで相乗効果が出しやすいという点を訴求していきたい。



<「キューノートFC」サービス概要>
「キューノートFC」は、大量のメールを高速で確実に配信できるのが最大の特徴。メールの効果測定や会員管理、システム連携用のAPIなども提供し、メールマーケティングも可能。HTMLメール作成機能「HTMLエディター」や分析機能を標準で搭載し、ECサイトのかご落ちをメールで知らせる「カートリマインド機能」なども提供する。




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