青山商事は1964年の創業以来、「洋服の青山」を業界で唯一、全47都道府県に688店舗を展開（2023年10月末時点）している。ECサイトは2008年に開設し、10年に「洋服の青山Premium」から「洋服の青山公式オンラインストア」に名称変更した。「洋服の青山」同様に、豊富な品ぞろえを誇り、メンズ・レディスのスーツやパンツなどの裾上げも可能だ。
同オンラインストアでは、「お問い合わせはこちら」というポップアップを掲出し、買い物の相談のほか、店舗サービスに関する相談、オンラインストアに関する相談を電話やメールなどで問い合わせることができる。
実店舗での経験や資格のあるスタッフによる店舗同様の提案接客サービス「コンシェルジュ」も利用可能だ。
オーダースーツもオンラインストア上で店舗来店予約や2回目以降のオンラインオーダーを受けつけている。「試着予約サービス」は、オンラインストアで気に入った商品の試着日時を予約し、顧客の指定した店舗に商品が届いてから実際に試着したり、色味や手触りを確認できるサービスだ。店舗在庫に縛られず、取り寄せのためだけにわざわざ店舗まで出向く必要もない。
さらに進化したサービスとして、ネット連携による豊富な在庫数とリアル店舗の接客サービスの両メリットを最大限に生かした独自システム「デジラボ」を展開する。
導入店舗では、店内のタッチパネル式の大型サイネージやタブレット端末で欲しい商品を選んだ後、選んだ商品と同様の型紙で作られた商品を試着し、サイズ感の確認と裾上げに必要な股下寸法を測る。端末に情報を入力し店舗で精算すると後日裾上げが完了した状態で自宅に商品が届く仕組みだ。サイズやフィット感などスーツにおいて大切な点は販売員が案内し、着心地や色柄などのディテールも実際に確認できる。
最近では全ての都道府県に店舗がある強みを生かし、顧客の自宅から近い店舗からの出荷も実施しており、物流2024問題への対応として配送量の削減にも取り組んでいる。
「O-PLUX」導入で不正購入を防止
不正注文を確認したのは、クレジットカード代行会社からのチャージバックがきっかけだ。ECの売り上げは毎年前期比20～30％増と右肩上がりで成長していた。不正利用は2020年から徐々に増え始めて、EC売り上げの拡大に伴って徐々に増加してきた。
＞＞不正注文検知サービス「O-PLUX（オープラックス）」のサービス概要はこちら！当初は、各カード会社が保有するカードの不正利用時に繰り返し使用される配送先情報を集約したデータベースをウェブで照会できる不正利用送付先検知サービス「fdec（エフデック）」を利用していた。しかし、被害額の売り上げ比が高くなったインパクトは強く、これには大きな危機感があり、2021年下期に、かっこが提供する不正検知O-PLUX（オープラックス）」のトライアル運用を始めた。
特に不正が広がったのは、直しが不要な女性用スーツやコート、メンズではバッグなどだ。直しが必要なメンズスーツは転売しにくいためか大きな被害はなかったという。
導入前は、漢字とふりがなが合わないケースや不正注文をする住所をスタッフが目視でチェックするなどの対応を行っていた。
「O-PLUX」は「システム間で直接連携しなくてもCSVファイルを管理画面からアップロードすることで審査できる点が大きな魅力」（齋藤賢一EC事業部副部長兼e-shopグループ長）と話す。
社外のソリューションを連携するにあたり、同社のセキュリティーポリシーによる制約や障壁があり、開発費がかからないことも導入の決め手となったそうだ。
導入後は、スタッフの防犯意識が高まったことに加え、不正検知にかかる時間が抑制され、生産性が向上した。「不正の新たな手口に対するのは自前では難しい。チャージバックを大きく削減できたほか、コスト効果としても成果が見えてきた」（齋藤氏）と話す。
<不正注文検知サービス「O-PLUX（オープラックス）」サービス概要>
https://frauddetection.cacco.co.jp/o-plux/download2/materials_o-plux/不正注文検知サービス「O-PLUX」は、データサイエンスを活用した独自の審査ロジックにより、不正注文をリアルタイムに検知し、クレジットカードのなりすまし注文、不正転売・悪質転売、後払い未払いなどの不正被害の防止・審査業務の自動化を実現するクラウドサービス。審査に電話番号の開通状況や空き室情報、端末情報など幅広いデータを用いるほか、累計１１万サイト以上の実績から導きだした不正者特有の買い方、他社での類似不正なども含めて判断している。
