2023.12.08

【ECサイトの売り上げの機会損失を最小限にするAIとは?】Riskified Japanのナボン恵子氏と長谷川拓矢氏に聞く

▲Riskified Japan ナボン恵子 氏(右)と長谷川拓矢 氏(左)


不正検知サービスにおいて世界的シェアの高さを誇るRiskifiedは、EC事業者に対して、売り上げの機会損失を最小限にとどめる提案を行っている。同社は、高い不正検知承認率をSLA(サービス水準合意)で確約し、発生したチャージバックは100%保証する、機械学習型の不正検知サービスを提供している。「チャージバック保証」は付けず、不正検知の精度を高めるプランも提供しているという。Riskified Japanのアカウントエグゼクティブを務めるナボン恵子氏と、事業開発担当の長谷川拓矢氏に、国内のEC不正検知の課題とニーズについて聞いた。



承認率高くコスト低く

――Riskifiedが提供する不正検知サービスについて教えてください。

ナボン:当社は、最先端技術とAIを駆使して不正な注文を検知する、機械学習型のサービスを提供しています。ユーザーのECサイト上の振る舞いなど、約400種類の独自の基準を基に、不正かどうかを判定しています。

正当な注文を承認する「承認率」が非常に高い点が特徴で、ECサイトによっては99%以上の注文を承認しています。正当な注文を誤って「不正」と判定し、売り上げの機会損失を起こしてしまうリスクを減らします。


▲Riskified Japanのナボン恵子氏


EMV3-DSの新たな課題


――国内のECの不正検知市場について教えてください。


長谷川:国内の不正検知ソリューションで多く導入されているのは、「スコアリング型」もしくは「ルールベース型」といわれるモデルです。個別取引のリスク度合いにより、「高リスク」「中リスク」「低リスク」に分類し、一部の注文に関しては、最終的に事業者側が目視でチェックする必要があります。

当社では、「ルールベース型」の不正検知ソリューションは、事業者側の負担が大きく、事業運営の足かせになっているのではないかと考えます。最終的な目視チェックが必要であるだけでなく、あらかじめ定める「不正の基準(ルール)」について、定期的に見直していく必要もあるからです。世界中で、不正なアクセスのパターンは複雑化していますから、見直しも高い精度が求められます。



▲事業開発の長谷川拓矢 氏

ナボン:経済産業省が発表している、EMV-3Dセキュアの導入義務化も、大きな課題です。経産省は、25年3月末までに、原則全てのEC加盟店が導入することを求めています。

EMV-3Dセキュアは、ECサイトで決済に進んだ注文者の中で、一定の割合に対して、ワンタイムパスワードなどのチャレンジ認証を行います。

あるEC事業者では、EMV-3Dセキュアの自動承認率は60%にとどまっているというデータがあります。残り40%の注文者に、拒否やチャレンジ認証が出現する可能性があるのです。ワンタイムパスワードは、カゴ落ちなどの発生につながるといわれていますから、チャレンジ認証の出現率は死活問題です。


 EMV-3DSと組み合わせも


――Riskifiedは、こうした課題にどう対応しますか?


ナボン:Riskifiedが提供するサービスでは、AIが自動的に不正を判定し、決済に通しません。事業者は怪しい注文をこれまでのように目視でチェックする必要がありません。「コントロールセンター」というダッシュボードを通して、かなり詳細に、AIが判定した内容を把握することも可能です。不正なパターンは常にシステム側でアップデートしていますから、ルールを見直す必要もありません。

長谷川:EMV-3Dセキュアについても、Riskifiedのサービスと組み合わせて活用すれば、不正の発生率を最小限に抑えられます。

Riskifiedの高度な機械学習を使って、EMV-3Dセキュアでは検知できない不正注文を排除し、真正な注文のみをカード会社に送信すれば、オーソリプロセスの最適化も期待できます。

EMV-3Dセキュアを導入すると、一部の顧客へのフリクション(摩擦)の発生は避けられません。承認・拒否の2択判定を採用し、カスタマーエクスペリエンスの悪化や機会損失を最小化することが、いま求められているEC戦略であると考えています。

ナボン:EMV-3Dセキュアとの組み合わせでは、当社の「チャージバック保証」が不要になるケースもあります。「チャージバック保証」を付けず、1件当たりの手数料を割安で提供するプランも提案しています。

Riskifiedは、EC事業者の負担と、売り上げの機会損失を最小限に減らす施策を提案しています。



■Riskifiedの導入事例に関する資料ダウンロードはこちら
https://bit.ly/lorna_jane_riskified_jp





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