2023.10.06

GMOメイクショップ、国内初「生成AIによる対話型コマース」を利用した高齢者の買い物支援の実証実験を開始

坂出市長 有福哲二氏(右から2人目)、GMOメイクショップ 代表取締役社長CEO 向畑憲良氏(右から3人目)

GMOインターネットグループのGMOメイクショップは11月1日、「生成AIによる対話型コマース」を利用した高齢者の買い物支援策の提供に向け、実証実験を開始する。香川県坂出市でケーブルテレビや通信事業を展開するKBN、坂出市、坂出商工会議所と連携し、高齢化率の高い坂出市王越町で実験を行う。ChatGPTのAPIを搭載した音声対話型のオンラインショッピングシステムを利用し、深刻化する買い物弱者問題の解決に貢献する。生成AIを活用した対話型コマースの実証実験を自治体と連携して行うのは、国内初の取り組みとなる。

GMOメイクショップは、ECプラットフォーム「makeshop byGMO」の展開によるECサイトの構築・運営支援を行っており、近年では地方事業者のEC化支援に注力している。

「makeshop byGMO」のショップ所在地別の流通額データによると、四国4県の流通額が他県と比べて少なく、四国のEC化・IT化に課題を感じていたというGMOメイクショップは、四国のEC化・IT化の底上げを図るべく、2022年から百十四銀行や香川銀行、坂出商工会議所などと連携した支援策を進めてきた。さらに2023年9月には、坂出市と「地域活性化起業人制度による派遣に関する協定」を締結し、GMOメイクショップのメンバーの派遣を開始。市民の生活利便性の向上や、市職員の働き方改革を実現するため、坂出市との連携を強めてきた。

昨今、地域の過疎化や高齢化、それによる商店街の衰退などから買い物弱者問題への対策が必要とされている。農林水産省のアンケート調査では、全国の市町村のうち回答があった市町村の87.2%が「食料品の買い物が不便・困難な住民に対する対策の必要性がある」と回答しており、坂出市においても例外ではない。2023年の坂出市の高齢化率は34.9%と全国平均の29.0%より高く、中でも王越町では、高齢化率61.1%と人口の半数以上が高齢者となり、買い物弱者の問題が深刻化している。

こうした背景のもとGMOメイクショップは、買い物弱者問題の解決に向け、同じく地元の活性化に取り組むKBNとともに「生成AIによる対話型コマース」を利用した高齢者の買い物支援策の検討を開始。坂出市と坂出商工会議所の協力のもと、サービスの実現に向けた実証実験の実施に至ったとしている。



2023年10月5日に、4団体による連携協定の締結を行い、11月1日より実証実験を開始。2024年以降のサービス提供を目指して取り組んでいく考えを示した。

本取り組みでは、王越町の高齢者世帯を対象に、2023年11月から約3か月間、GPT-4を利用した音声対話形式のオンラインショッピングによる実証実験を実施する。タブレット端末に話しかけるだけでAIがおすすめの商品を提示し、日々の生活に必要な食材などの注文が完了。注文情報は専用ECサイトへ連動し、高齢者の自宅へ商品が届く。

音声対話型コマースにより複雑な操作が不要なため、スマホやタブレットの操作に不慣れで、ECサイトやネットスーパーを使えない高齢者でも簡単にオンラインショッピングが可能。会話は脳の動きを活性化することから、認知症や寝たきりを防止するなど健康的な効果があるとも言われており、高齢者の発言に応じてAIが回答する対話型コマースでは、健康促進による介護予防が期待できるとしている。本実験では、高齢者による実機の操作性、高齢者の買い物支援における対話型コマースの有効性を検証する。


▲対話型コマースの利用イメージ

さらに注文先となるECサイトの構築・運営は地元の商店に協力を依頼し、販売機会を増やす。配送手段は地元タクシー会社との連携を検討するなど、地域事業の有効活用によるシェアリングエコノミーの推進を目指す。

実証実験の開始に先駆け、GMOメイクショップ、KBN、坂出市、坂出商工会議所は10月5日、「生成AIを活用した対話型コマースによる高齢者の買い物支援」の実証実験に向けた連携協定締結式を開催した

本取り組みにあたり、坂出市長 有福哲二氏は、高齢化社会が進展する中、1人暮らしの高齢者や高齢者夫婦のみの世帯の増加に伴い、在宅生活を送るうえで支援を必要とする高齢者が増加することが予想されるとし、「こうした高齢者のニーズに対応するため、公的支援に加え、様々な主体によるサービスの充実化が必要となってまいります。本市といたしましては、ボランティアや民間団体、企業等の多様な事業主体による重層的な生活支援サービスを発掘するとともに、元気な高齢者の社会参加の促進、さらには生活支援等のサービスの担い手にもなっていただけるような取組を推進していくことが重要だと考えております」と述べた。

「今回、実施いたします王越地区における実証実験は、民間事業者が主体となり、生成AIという最先端技術を活用して高齢者の買い物の支援を行うものとなっており、本市といたしましても、実証実験の成果を今後の高齢者の在宅生活を支える環境づくり施策に活かしてまいりたいと考えております」とコメントした。

GMOメイクショップ 代表取締役社長CEO 向畑憲良氏は、「この度、坂出市と坂出商工会議所にご協力いただき、KBNと連携した『生成AIによる対話型コマース』の提供に向け実証実験を行う運びとなりました。実験の対象となる王越町は私の地元でもあり、実際に私の母が食料品や日用品の買い物に苦労する様子も目の当たりにしてきました。過疎化、高齢化による買い物弱者の問題は王越町に限ったことではなく、全国的に深刻化していますが、まずは王越町での実験をもとに、他の地域の方々にもご利用いただけるサービスとしての提供を目指し、検証を進めてまいります。これまで私たちが培ってきた技術を活かし、高齢者の方々にとっても使いやすいシステムを開発することで、買い物弱者問題の解決に貢献するとともに、ECをより身近にし、普及率を上げていきたいと考えています」と話した。





RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事