2023.09.01

菅公学生服、制服ECサイトが30%増収 「カンコー委員会」で学生の声を生かす

「カンコー委員会」6期生

老舗学生服メーカーの菅公学生服は2016年から、一般消費者(BtoC)向けに制服の販売を開始し、ECサイトを中心に売り上げを拡大している。2022年7月期のEC売上高は、前期比約30%増と大きく伸びている。学生の声を取り入れ、制服の企画やPRに生かすことで高成長を遂げている。

1854年創業の同社は、2024年に創業170周年を迎える老舗だ。従来は学校や販売店向けに制服や体操着などを販売してきた。


▲創業170周年のキービジュアル(学校制服バージョン)

「少子化の現在、学校の制服や体操服の製造販売など既存のビジネスだけでは厳しい。新規事業として指定制服のない学校やイベントで着用できるような学生服の販売を開始した」(カンコーセレクトスクエア事業部部長兼マーケティング室室長 羽冨裕也氏)と振り返る。

一般消費者へ販路として、2016年に実店舗を、2018年にはECサイトを開設した。ECサイト開設当初は集客に苦労したという。

商品力や集客力を強化するため、中高生メンバーを募り、制服の企画やPRを共に行う「カンコー委員会」を2018年に立ち上げた。

「最近の中高生は広告を真に受けず、身近な人の意見をよく聞く傾向がある。トレンドの感度が高く、自分の意見をしっかり持っているような中高生をオーディションで選抜した」(同)と言う。

今年3月には、第6期メンバーとして、モデル11人、商品開発担当1人、カメラマン2人の計14人を選出した。3月30日には、10代向けのイベント「超十代-ULTRA TEENS FES-2023」のステージでメンバーを初披露した。

モデルメンバーは制服のモデルとなるだけではなく、イベントに出演したり、SNSで情報発信したりする。商品開発やカメラマンは、学生の声を反映した商品企画やコンテンツ制作に携わる。


▲企画・開発の様子

「学生服は毎年、ユーザーが変わり、最近はジェンダーレスなど世の中と合わせて動きが速い。現役の学生メンバーがいることで、商品やECサイトにリアルな声を反映できるだけでなく、説得力のある発信もできる」(同)と話す。


▲カンコー委員会5期生が企画・開発したスカート

学生の声を取り入れた商品開発に加えて、人気学生モデルの発信力を活用することで、東京などの都市部だけではなく、ECサイトを通して長野などの地域でも販売を伸ばしている。

BtoC事業のEC化率は約8割となっており、今後もECを中心に売り上げを伸ばしていきたい考えだ。







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