2023.08.16

Stripe、決済の最新トレンドを発表する「Stripe Tour Tokyo 2023」のレポートを公開

企業向け経済インフラプラットフォームを運営するStripeはこのほど、8月2日に開催した最新の決済トレンドやStripeの取り組みについて紹介するカンファレンス「Stripe Tour Tokyo 2023」のレポートを公開した。Stripeの今後の戦略や最新の決済・フィンテックトレンドについて発表したほか、Stripeパートナー、ユーザーによる各種ブレイクアウトセッションを実施。スペシャルセッションでは、三井住友カード 、ジェーシービー、Shopify Japanによるキャッシュレス決済の動向や、トレンドについてさまざまな視点からディスカッションを行った。

サンフランシスコとダブリンに本社を持つStripeは、企業向けの経済的インフラストラクチャを構築する企業。スタートアップから世界的な大企業まで、数百万におよぶ企業に導入されている。

8月2日に最新の決済トレンドやStripeの取り組みについて紹介するカンファレンス「Stripe Tour Tokyo 2023」を開催した。

イベントの冒頭では、この日のために来日したStripe最高顧客責任者 (COO) のマイク・クレイヴィル氏が登壇し、「当社にとって日本は重要な市場の1つであり、今後も顧客主義を最優先とし、日本企業の発展に貢献できる製品やサービスの開発にリソースを投資して参ります」と挨拶した。

次に営業・戦略を統括するStripe日本法人代表取締役の平賀充氏が登壇し、「Stripeの使命はインターネットのGDPを拡大させることです。新型コロナが世界で発生する以前の2019年、Stripeのサービスを利用したユーザー企業は、Stripeを活用して2160億ドル(約31兆円)の収益を得ており、グローバルで毎週約1600の新規ビジネスがStripeを利用していましたが、さらに成長を続けており、本年度末には約1兆ドル(約140兆円)を超える収益をStripe上で決済処理することになる見込みです。加えて、現在では世界で約4600の新規ビジネスが、週次で事業を開始しています」と述べた。


▲Stripe 日本法人代表取締役 平賀充氏

さらに日本でのビジネスについて、「日本はStripeにとって戦略市場です。2015年にベータ版の提供を開始し、スタートアップから大企業まで現在では10万社以上の日本企業にStripeのソリューションを活用していただいています。Stripeはこれからも皆様のビジネスの成長をしっかりとサポートさせて頂きます」とコメントした。

最後に、同日に発表したデジタル貿易に関するレポートについて、「2022年、国際的に販売を行う日本企業の数は39%増加しており、さらに約8割(79%)が、今後2年以内に海外進出を計画しています」と紹介し、日本企業のデジタル貿易への関心の高さを明らかにした。

続いて、プロダクト・開発を率いるStripe日本法人代表取締役のダニエル・へフェルナン氏が登壇し、Stripeが提供する最新のプロダクト情報および今後の展望について、「世界中で新しい決済手段がどんどん増えていく中で、スマートフォン経由でのEコマース、オンラインショッピングも急増しています。新しいビジネスモデルやチャンスが生み出される一方で、決済もますます複雑になっており、対応コストも高くなっています。そのため今後は消費者により“快適な決済体験”を提供することが重要なポイントになっていきます」などと語った。


▲Stripe 日本法人代表取締役 ダニエル・へフェルナン氏

決済システムの導入を支援するStripeのプロダクトについて、製品ポートフォリオの3つの主要な軸である「グローバル決済プラットフォーム」「埋め込み型の決済」「収益・財務オートメーション」を中心に、デモンストレーションを交えながら紹介した。その中で、売上管理を自動化するワンプラットフォーム戦略や、プラットフォームビジネスを簡単に実現できる「Stripe Connect」についてのアップデートを発表。

「Stripeは、決済フロー体験を改善することがオンラインビジネスで最も重要なビジネス指標であると考えています。『Stripe Connect』の新しい埋め込みコンポーネントは、自社のWebサイトやアプリケーションに『Stripe Connect』の機能を簡単に組み込める機能です。既存のサービスのUIを邪魔することなく、これまで以上に安全かつスムーズな支払い管理の環境を簡単に構築できます。数年かけてイチから作るようなプロジェクトを1人のエンジニアがたった数日で終わらせることも可能です」と話した。

他にも「Stripe Terminal」や「Revenue Reporting」など、今後日本で展開予定のサービスについても紹介し、さらに今後のパートナーシップについても「Stripe は、日本を含む全世界に、Stripe Data PipelineにおけるAmazon RedshiftとSnowflakeとの連携を拡大します。近日中にリリース予定で、決算の締め処理や効率のよいデータ分析が行えるようになります」と、日本市場での展望についてを明らかにした。

イベントの後半で行われたスペシャルセッション①では、三井住友カード 常務執行役員 アクワイアリング本部長 疋田政彦氏、ジェーシービー 代表取締役兼専務執行役員 三宮維光氏、Shopify Japan カントリーマネジャー 太原真氏が登壇。キャッシュレス決済の動向や、注目している決済や消費トレンドについてさまざまな観点からディスカッションを行った。

オンラインコマースの成長背景として、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で生活習慣が大きく変化し、加えて日本では質の高い物流のインフラが整っていたことが進展に寄与したと解説した。その影響でD2C販売が増加し、直販によるマージン削減や顧客データを可視化・蓄積することができるようになったとした。

加えて、モバイルウォレット機能やBNPL(後払い決済)等、消費者の決済の選択肢が増えているなか、それぞれの特徴を生かすことがオンラインコマースを更に発展させるためには重要だと議論した。

ユニファイドコマースについては、以前は店頭でのPOSレジが起点となっていたが、感染症拡大による人手不足や非対面ソリューションへのニーズが高まり、ECの需要が肥大化。店舗とECサイトの決済、在庫や売上管理などのシステムを一元化する必要性が生まれ、対面・非対面を融合するためのソリューションの必要性が高まっていることに言及した。

最後にシームレスな決済体験について、利便性、利得性、セキュリティが重要であり、決済体験の向上は収益に直結するうえ、認証技術が進むことは正確な顧客データの蓄積やセキュリティ技術向上にも繋がるため、正確な認証技術の開発がポイントになっていると結論付けた。

Wellness Me CEOでアナウンサーの森本智子氏をモデレーターとして迎えたスペシャルセッション②では、経済学者の成田悠輔氏、シード・アーリーステージのベンチャー投資を行うアニマルスピリッツ CEOの朝倉祐介氏が登壇。インターネット経済の現在と未来について両者ならではの視点でパネルディスカッションを行った。

成田氏は、インターネットによる国家と市場の融合などについて言及。日本企業は成長と共に、人口減少下での存続のための双方のDX化が必要であると主張した。一方、朝倉氏は、インターネットの急激な変化に目を奪われず、現場のDX化やデータ利活用による新価値創出と労働力減少の課題解決を重視するべきと語った。

ブレイクアウトセッション①では、大企業・スタートアップに分かれてそれぞれの観点から各種セッションを実施。大企業セッションでは、ANA X 事業開発部部長 千歳敬雄氏、オリックス デジタル戦略推進室長 長澤拓馬氏、トヨタ自動車 主任 中谷友昭氏、西本Wismettacホールディングス シニアマネージャー 郷宗達氏が登壇。大企業として新規事業を立ち上げるにあたって抱えていた課題と、どのようにStripeを利用しながらその課題を乗り越えてきたかを紹介した。

スタートアップセッションでは、 STUDIO Inc CEOの石井穣氏、シェアダイン 共同代表 井出有希氏、oVice ジョン・セーヒョン氏、One Capital CEO 浅田慎二氏が登壇。現在の経済の荒波を乗り越える方法、スタートアップの成功要因について語った。

ブレイクアウトセッション②では、Chatwork 執行役員 CTO 兼開発本部長 春日重俊氏、All Connect 執行役員 情報システム本部 本部長 前田知也氏が登壇。システム拡張を見越したデータ環境の統合や、見積もり・決済・請求の自動化をStripeのワンプラットフォームで完結する活用戦略について話した。

Accenture Song マネジング・ディレクター 正木哲也氏が登壇したセッションでは、決済のPDCAを通じて収益を増やす方法、優れた決済体験の構築について、実例を交えたディスカッションを行った。




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