国内の格安事業者には脅威か
国内市場への影響については、「若年層のアパレル購入が大手モールから『ZOZOTOWN(ゾゾタウン)』、そして『SHEIN』にシフトしているように、アパレル以外で『Temu』の影響を受ける事業者は多いと思う」(清水代表)とみている。
「すでに米国でシェアを伸ばし、現地事業者の脅威になっているので、日本でも間違いなく脅威になると思う」(大久保代表)と警戒する。
一方で「日本の消費者は値段より品質を重視する人も多いので、米国ほどは一気に成長しない可能性もある」(大久保代表)という見解も示す。
カウシェの門奈代表も「安さを重視するあまり、日本人の求める高い品質には及ばないアイテムも正直多いと思う。しかし、品質に若干の問題を抱える『SHEIN』が少しずつ日本で受け入れられてきたように、『安さは正義』でユーザーを徐々に獲得していく可能性もある。取扱商品の品質自体も今後は向上していくと思う」という見方を示す。
安さを売りにしているEC事業者や、短期利用を想定して購入するユーザーが多いフリマアプリなどへの影響は大きそうだ。
将来は自社ブランドを展開か
さまざまな報道を見ると、「Temu」の事業自体は大幅な赤字であり、投資先行でシェアを獲得してから、収益化を進める見通した。
「今後も投資を続けながら、世界で競争力が持てる仕組みやパートナーの獲得がある程度見えてきた時点で、商品を自社ブランド化していくのではないか」(門奈代表)という見方もある。
原材料や運営コストの増加で、値上げを進めている国内事業者にとって、「Temu」の価格攻勢は確実に脅威になる。一方で「Temu」には提供できない商品力や付加価値、安心感でしっかりと差別化を図ることで、その脅威を避けることもできるだろう。