食品宅配を展開するオイシックス・ラ・大地はこのほど、投資子会社のFuture Food Fundが運営するフードイノベーション領域に特化したCVCファンド「Future Food Fund 2号」が、牧草和牛などの一貫生産と、精肉店、レストラン、食肉卸売業などをワンストップで経営する循環型畜産ベンチャーGOODGOODに投資を実行したと発表した。現在ファンドレイズ中の「Future Food Fund 2号」における第1号投資案件となり、今後も更なる投資を行っていく考えを示した。
オイシックス・ラ・大地の投資子会社であるFuture Food Fundは、食のスタートアップ企業へ投資を実行することで、より多くの人がよりよい食生活を楽しめる未来をつくることを目的としている。2023年5月、フードイノベーション領域に特化したCVCファンド「Future Food Fund 2号」において、循環型畜産ベンチャーGOODGOOD社への投資を実行した。
今回の新規投資先であるGOODGOODが行っている循環型畜産は、現代の市場環境やテクノロジーを前提とし、自然生態系の力を活用した、家畜福祉に配慮した欧州方式のエシカルな畜産形態。生産から販売までをワンストップ経営することで、飼料・家畜・食肉など各相場の影響を受けにくく、消費現場のニーズをリアルタイムに生産現場へフィードバックし、生産情報を高次元に消費者へ共有することができる。
世界の人口増加に伴い、タンパク質の需要が供給を上回る「タンパク質クライシス」への懸念から、それを払拭するためにプラントベースの代替肉や培養肉など、新たな生産プロセスによるタンパク源の製品化に注目が集まっている。代替肉や培養肉の市場は急速に拡大しているが、食肉市場全体ではいまだ従来の畜産由来の肉製品が大部分を占めている。特に日本方式の霜降り牛生産は、環境負荷と食糧問題への影響が大きいとも言われ、従来の畜産事業でも生産プロセスへの見直しが求められているようだ。こうした中、農林水産省は「みどりの食料システム戦略」として、食料の安定供給・農林水産業の持続的な発展と地球環境の両立を実現させる政策を策定している。
GOODGOODは「みどりの食料システム戦略」を実現する循環型畜産ノウハウを単独で保有する国内でも数少ない企業として、「世界に先駆けて自然の力と先端テクノロジーとで極限まで天然肉生産を洗練させる」ことをミッションに掲げている。Future Food Fundは、GOODGOODが日本の畜産を変革し、100年先のすべての食卓が笑顔で溢れるものとなることを期待するとしている。
今回の取り組みにあたり、Future Food Fund 投資担当の大場翔太氏は、「昨今、代替肉や昆虫食などの代替タンパクや細胞農業がクローズアップされているものの、天然肉と比較すると市場規模にまだまだ大きな開きがあります。急速に成長しているプラントベースや細胞農業（培養細胞）の発展とともに、既存の畜産事業にも変革が求められています」と話す。
▲Future Food Fund 投資担当 大場翔太氏
国内では流通量の少ない、エシカルで健康的な牧草和牛や国産放牧豚、NZ産の放牧牧草牛の取り扱いなど、「和牛」ブランド×エシカルな戦略をとるGOODGOODは、日本の畜産業界に新たな可能性を示してくれると感じたとし、「野々宮代表を中心に、NZやヨーロッパで特に広まっているエシカルな天然肉を生産・消費する文化を日本国内に広め、エシカルと美味しいを両立できる生活を提供する同社の取り組みが多くの方に届くようにサポートしてまいります」と述べた。
▲GOODGOOD 野々宮秀樹代表GOODGOOD 代表 野々宮秀樹氏は、「弊社は、『お肉のリブランディング』カンパニーです。昨今の畜産・食肉業界を取り巻く環境の変化に対応し、業界の習慣や常識にとらわれることなくサプライチェーンを見直し再構築することで、次世代のお肉のマーケットを創出しています。代替肉は今後需要がより拡大することは間違いありませんが、弊社では『それでもお肉を食べたい』というニーズは今後も残り、大きなマーケットを形成し続けると考えています。その際に、食や環境に対するリテラシーが向上した市場に対応した『New Meat』として、この領域で新たな選択肢を消費者に提供しています。これらを世の中に出していく際に、当該領域の先駆者であるFuture Food Fund社と共に進んでいけることは、とても心強く、既存株主とともに非常に喜んでおります」とコメントした。
