GMOメイクショップが提供するECサイト構築SaaS「makeshop(メイクショップ)」は、2022年の流通額が前年比11%増の3055億円となり、国内のECサイト構築SaaS業界で11年連続1位になったという。昨年9月、「makeshop」のフルリニューアルを発表し、同11月にはAWSへインフラを移行した。今年3月には新しい管理画面の提供を開始している。リニューアルの状況や、中堅・大手向けの「GMOクラウドEC」の好調要因などについて、常務取締役COO兼福岡支社長の古屋智久氏に聞いた。
新管理画面に切り替え
――「makeshop」のリニューアルの進捗は?3月に新しい管理画面の提供を開始したが、デフォルトでは旧管理画面になっており、お客さまが新管理画面に切り替える必要がある。そのため、新管理画面を利用しているショップがまだまだ少ないので、今後、デフォルトを新管理画面に設定しようかと思っている。8月にはアプリプラットフォームの公開も控えている。そこに向けて新管理画面の利用も一気に加速していくと期待している。
もちろん旧画面に戻すこともできる。ただ、未来永劫、2つの管理画面を提供するつもりはないので、できるだけ早く新管理画面に慣れていただきたい。新管理画面を利用しているショップからネガティブな意見がほとんど出ていないので、やっぱり使い勝手はいいのだと思う。
――アプリプラットフォームの準備は順調か?順調に準備が進んでいる。アプリ化を希望するベンダーさんともたくさん話をしており、8月の公開時点でも数社のアプリを提供できるように準備をしている。
――アプリプラットフォームへのベンダーの期待は大きいのか?当社の手が回らずお叱りをいただくくらい多くのベンダーさんからアプリ化の要請が来ている。もともと連携しているベンダーさんはもちろん、まだ連携していなかった新しいベンダーさんからも声をかけていただいている。8月の公開時からアプリを提供したいというベンダーさんも多いが、一気には対応できないので、順次、アプリをリリースできるように準備を進めていきたい。
――アプリプラットフォームにより、外部ベンダーは「makeshop」と連携しやすくなるのか?もともと「makeshop」と外部ソリューションが連携する際は、当社が一緒に開発する必要があった。アプリプラットフォームはその必要がなく、ベンダーさんが自由に連携アプリを開発できるようになる。「Shopify」さん向けのアプリを開発しているベンダーさんにも手を挙げていただいている。日本の商習慣に合った「makeshop」で、より細かいところまで設定できる点を伝え、多くのベンダーさんにアプリ提供を進めていただきたい。
高い技術力で「テセウスの船方式」実現
――「テセウスの船方式」で段階的にシステムを刷新し、導入企業には移行の負担をかけないという。他社では見られないリニューアル方式だが、本当に実現可能なのか?正直、難しい面もあるが、時間をかけて何度も検討し、そのやり方を見つけることができた。現状を見ていただいたら分かる通り、旧管理画面を残したまま、新管理画面や新たな仕組みを実装している。そこの交通整理さえちゃんとできて、優先順位通りに進めていけば、まず事故が起きることはない。今のところ思ったよりもスムーズにできて進んでいる。
▲昨年10月に発表会で事業戦略を説明する古屋智久COO(中央)――技術開発のレベルも上がっているのか?昨年、GMOシステムコンサルティングと合併したのも大きかった。GMOシステムコンサルティングはSIとして本格的にシステム開発を行っており、その知見を融合することができた。システムエンジニアの環境は大きく変わっていると思う。
GMOシステムコンサルティングはSIだけではなく、パッケージシステムも開発している。「makeshopエンタープライズ」の裏側の開発をやってもらっていたこともあり、幅広く対応できる強みがある。非常にいい融合ができたと思う。