2023.04.14

老舗和菓子店「亀屋良長」、デジマ強化でEC売上8倍 SNS活用に成功

吉村良和社長

1803年に創業した老舗和菓子店の亀屋良長は、コロナ禍にECを強化した。2021年のEC売上高は、前年比約8倍に伸長している。SNS活用に注力し、集客の拡大につなげたという。和菓子とSNSの相性の良さからファンの獲得に成功している。

ECサイトを開設したのは約10年前。開設当初、3カ月間の売り上げはゼロだったという。テレビでの露出が徐々に増え、売り上げも伸びたが実店舗がメインだった。

コロナ禍で観光客が減り、実店舗の売り上げが落ち込んだ時がターニングポイントだった。それまではECに注力することはなかったが、時間ができたことをきっかけにECの取り組みを強化した。

ECコンサルタントにアドバイスをもらい、デジタルマーケティング(デジマ)を強化した。「発信力が圧倒的に足りていない」という指摘を受け、拡散力のあるツイッターの運営を開始した。新商品やセットの商品の品ぞろえを拡充し、その情報を発信したが、フォロワーは100人強程度しか集まらなかった。

「試しに製造過程の動画をスマホで撮影し、投稿した。珍しさや面白さからか、一晩でフォロワーが8000人増えた」(吉村良和社長)と話す。

同社からすると日常的だと感じている製造過程が、顧客目線では目新しい情報として拡散され、認知が拡大した。再生回数も630万回を超えたという。


▲製造過程の動画の一部

「これを機にファンも増え、フォロワーも増えている」 (同)と言う。

ツイッターのほか、インスタグラムでの情報発信にも注力している。インスタグラムは写真がメインとなる媒体のため、季節やイベントに合わせた商品との相性が良いという。派手すぎず、控えめな画像を選ぶことで統一感を出している。

同社はオーダーメードで和菓子の注文を受けている。茶道の先生からの依頼で、夏に花火の茶菓子を製造した。一般販売の予定はなかったが、SNSにアップしたところ、反響が良かったため販売を開始した。

「普段は販売しないような珍しい商品とSNSの掛け合わせは効果的だ。珍しさや商品の美しさが話題を呼んでいる」(同)と言う。

コロナ禍に売り上げが大きく伸びたが、コロナ禍が収束に近づくとともに、売り上げの伸びも落ち着いてきたという。

2022年11月には、サイトをリニューアルし、ユーザビリティーを向上した。リニューアルオープンを記念し、10%オフキャンペーンを行ったことで、売り上げを少し伸ばすことができた。

最近は食パンなどに乗せて食べるために開発した薄型のようかん「スライスようかん」が売れているという。ユニークな商品展開が注目を集めているという。







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