2023.02.10

「中小事業者に新たな資金調達方法を」デジタルガレージグループに聞く 即時性と利便性に優れた2つの新サービス


決済代行大手のDGフィナンシャルテクノロジーを傘下に持つデジタルガレージグループ(DGグループ)はこのほど、中小事業者の資金調達の課題を解決する2つのサービスの提供を開始した。仕入れなどにかかる支払いをカードで行える「DGFT請求書カード払い」と、将来見込まれる売り上げを債権として譲渡する形で資金調達が行える「クイックマネー」の2つだ。2つのサービスは、担保にできる資産を持たない中小事業者やスタートアップ企業が、時間や人材などのコストを軽減し、資金を調達できるサービスだとしている。デジタルガレージでは、グループ全体でFintech事業を強化する戦略を打ち出しており、新サービスもその一環だという。デジタルガレージ 新規フィンテック事業部の西村大司氏と戦略テクノロジー事業開発部の小島崇氏に、新サービスを提供するに至った背景や、サービスのメリットについて聞いた。



中小事業者の3割が「資金調達が負担」と感じる


――資金調達について、中小事業者やスタートアップ企業はどういった課題を抱えているのか?


西村:仕入れなどにかかる借り入れについて、手間や時間がかかることに負担を感じている事業者が多い。日本貸金業協会が2022年3月に実施した事業者の借り入れ意識に関する調査によると、「借り入れの手間、借り入れにかかる時間、担保・保証人の差し入れや利息などを負担だ」と考えている事業者の割合が、3割を超えるという。


▲デジタルガレージ 新規フィンテック事業部の西村大司氏

小島:我々が実施した顧客ヒアリングでも、銀行などの金融機関から借り入れをする場合、資料準備の負担が大きい、審査に時間がかかりタイムリーな資金調達ができないという問題点が指摘された。中小事業者は、財務的に余裕がないケースも多く、手間や時間がかからない資金調達手段を必要としていると感じた。

例えば、中小事業者は、何かのきっかけで取扱商品の人気に火がついた時の急な仕入や、繁盛期を前に広告費を急に増やそうとしても、財務的に余裕がなく、資金投入を諦めるケースや、経営者の個人資産から一次的に資金を融通するケースがある。

西村:銀行から借り入れを行う際、求められる書類を適切なタイミングで準備するなど、財務担当者のスキルも求められる。中小事業者は、こうした人材が不足していることも多い。このほど提供を開始した、「DGFT請求書カード払い」と「クイックマネー」は、こうした、手間をかけない資金調達を必要とする企業を支援する目的で開始したサービスだ。


▲デジタルガレージ・戦略テクノロジー事業開発部の小島崇氏


カード払いへの変更で、支払いを最大60日程度繰延


――「DGFT請求書カード払い」のサービス概要とメリットについて知りたい。


西村:「DGFT請求書カード払い」は、B2Bの請求書を起点とした支払い取引において、売り手企業がカード決済に対応していない場合でも、買い手企業が所有するカードでカード決済を利用できるサービスだ。まず、買い手企業は、本サービスのウェブサイト上で利用登録を行い、支払い対象となる取引先/請求書の登録、カード決済の実行を行う。買い手企業がカード決済完了後に、デジタルガレージが売り手企業の指定口座へ送金する流れだ。


▲売り手企業がカード決済に対応していなくても、カード決済を利用できる

カード払いを利用することで、買い手企業は、実質的な支払期日を30~60日程度後ろ倒しにすることが可能だ。定期的な季節需要の波や突発的なトラブルなどに伴う資金繰り、採用や広告など事業成長に向けた先行投資などのケースに適しているといえる。カード払いは手間が非常に少ないため、企業の経営者や財務担当者の業務負担軽減にもつながる。

これまでカード払いは、売り手企業がカードの加盟店登録をしている必要があった。売り手企業が決済手数料を負担する必要もあるため、B2Bの取引では、まだまだ浸透しきれていない。「DGFT請求書カード払い」は、買い手企業が手数料を負担する仕組みとなっているため、売り手企業にとっても負担は少ない。現在、JCB、Visa、Mastercardの3大カードブランドに対応している。

すでにサービスを利用しているユーザーでは、事業が成長しているがキャッシュが不足している企業や、迅速な資金調達が必要な企業が多い。IT系やEC企業の利用もある。現在は、国内の法人間の取引に限定しているが、近い将来、個人事業主も利用できるようにすることを計画中だ。

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