2023.01.18

Google Cloud、小売業向けに4つのAIツールを発表 ECサイトの商品陳列を最適化する機能も

Google Cloudは1月13日、小売業者向けに新たに4つの最新AIテクノロジーを発表した。小売業の商品供給力向上を支援する新たなAIを搭載した棚卸ソリューション、ECサイトでの最適な商品の並び順を選択する小売業者向け「Discovery AI ソリューション」の新たなAI機能、よりパーソナライズされた検索および閲覧結果を実現する新しい AI 駆動型パーソナライゼーション機能を提供し、AIに基づくより良いレコメンデーションにより収益を向上を支援するRecommendationsAIをアップグレードした。

Google Cloudは、小売業者が店頭の棚卸プロセスを変革し、ECサイトを強化して顧客によりスムーズで自然なオンライン ショッピング体験を提供するための4つの最新AIテクノロジーを発表した。

1つ目は、Google Cloudの新たなAIを搭載した棚卸ソリューションだ。Google CloudのVertex AI Visionをベースに、商品認識とタグ認識の2つのML(Machine Learning/機械学習)モデルを搭載した棚卸AIにより、商品の視覚的特徴とテキストの特徴のみを用いて、あらゆる種類の商品を大規模に識別し、そのデータを実用的なインサイトに変換するという困難な課題の解決を可能にした。小売業者が棚の商品在庫を改善し、棚の状態の可視化し、補充が必要な商品の把握を支援する。

Google Cloudの棚卸 AIは、Googleが保有する数十億のユニーク エンティティのデータベースを活用し、異なる角度や視点から撮影されたさまざまな画像から商品を特定するという非常に困難なタスクを実行できるため、小売業者がデータ収集や独自のAIモデルのトレーニングに時間、労力、投資を費やす必要はない。棚卸 AIに提供する画像の種類は柔軟に選択でき、天井に設置されたカメラ、店員の携帯電話、店内を巡回する棚卸ロボットなどの画像を利用することができる。なお、小売業者の画像とデータは小売業者のものであり、AIは商品と値札の識別にのみ使用する。

現在、全世界でプレビュー版を提供中しており、今後数カ月以内に全世界の小売業者向けに一般提供を開始する予定としている。

2つ目に、小売業者向けDiscovery AIソリューションの新たなAI機能を発表した。これまで ECサイトでは、カテゴリのベストセラーリストか、季節に合わせてどの服にフォーカスするかといった人間の書いたルールに基づいて、商品の検索結果をソートしていた。

Discovery AIソリューションの新たなAI機能では、MLを利用し、小売業者のECサイトで買い物客がカテゴリを選択した際に、最適な商品の並び順を選択する。AIが時間の経過とともに、過去のデータからECサイトの各ページの理想的な商品の並び順を学習。正確性、関連性、販売見込みを考慮して、どの商品をどのように表示するかを人手を介することなく最適化できる。72の言語に対応したしており、すでに全世界の小売業者向けに一般提供を行っている。

3つ目に発表したのは、小売業者のWebサイトを検索・閲覧する際に顧客が得る結果をカスタマイズする、新しいAI駆動型パーソナライゼーション機能。この技術は、Google Cloudの新たな閲覧サービスと、既存のRetail Searchソリューションの機能を強化するものとなる。

新しいパーソナライゼーション機能を支えるAIは、ECサイトでの顧客のクリックや購入などの行動から、買い物客の趣味や嗜好を判断する商品パターン認識機能を搭載。嗜好に合った商品を検索や閲覧のランキングで上位に移動し、パーソナライズされた結果を提供する。

なお、買い物客のパーソナライズされた検索結果や閲覧結果は、特定の小売業者のECサイトにおける利用者の行動のみに基づいており、Googleアカウントの利用状況とは連携していない。買い物客は、小売業者のサイトで作成したアカウント、またはWebサイト上のファースト パーティークッキーによって識別される。Google Cloudの他のソリューションと同様、小売業者は顧客の嗜好に関する情報を得るが、データは顧客が所有するもので、管理もできる。
新しいAI駆動型パーソナライゼーション機能は現在、全世界の小売業者向けに一般提供を行っている。

4つ目には、Recommendations AIの新しいアップグレードを発表した。小売業者は、自社のWebサイトにどのパネルを表示し、いかに効果的に配置するかや、関連性が高いパーソナライズされたコンテンツをどのように用意するかといった判断に長い間悩まされ続けてきたが、今回のアップグレードによりその解消をサポートする。

アップグレードしたRecommendations AIでは、新たなページレベルでの最適化機能により、ECサイトでどの商品レコメンデーションパネルを各買い物客に表示するかを動的に決定可能となった。また、ページレベルでの最適化により、多くのリソースを必要とするユーザーエクスペリエンステストを最小限に抑え、ユーザーエンゲージメントとコンバージョンレートを向上させることができるとしている。小売業者のECプロパティをさらにパーソナライズされた、個々の顧客に役立つものにすることができる。

加えて新たに追加した収益最適化機能は、MLを使用し、あらゆるECサイトのユーザーセッションあたりの収益を拡大できる、より良い商品レコメンド機能を提供する。DeepMindと共同で構築したMモデルは、ECサイトの商品カテゴリ、商品価格、顧客のクリックとコンバージョンを組み合わせ、買い物客の長期的な満足度と、小売業者の収益増加の適切なバランスを見極めることができる。さらに新しいBuy-it-Againモデルは、顧客の買い物履歴を活用し、リピート購入の見込みに関するパーソナライズされたレコメンデーションを提供する。

Recommendations AIは、Google Cloudユーザーが使用する基本的なレコメンデーションのシステムと比較し、小売業者による検証において、コンバージョン率とクリック率を2桁上昇させている。新しいページレベルでの最適化機能、収益最適化機能、Buy-it-Againモデルは、全世界での小売業者への提供を開始した、

これらの新テクノロジー発表について、Google CloudのJAPAC リテール&コンシューマ担当ディレクター Sameer Dhingra氏、「ここ数年の急激な変化により、小売業界の状況は一変しており、小売業者がより効率的に顧客を惹きつけ、未来の変動による影響を最小化するために必要とするツールにも変化が現れています。不確実性はあるものの、小売業界には大きなチャンスがあります。未来のリーダーは、人工知能(AI)や機械学習(ML)などの最新テクノロジー ツールを用いて、店舗やオンラインの最も差し迫った課題に対処するでしょう」とコメントした。




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