2022.12.23

「MakeShop」、コロナ禍3年目のEC市場を分析 「フード・菓子」ジャンルが急成長

GMOインターネットグループのGMOメイクショップは12月22日、ECサイト構築SaaS「MakeShop byGMO」において、2022年は3000億円に達する見込みの年間流通額と1万1000件以上の導入店舗データをもとに、コロナ禍3年目のEC市場を分析し、コロナ禍以前の2019年からコロナ禍3年目を迎えた2022年の振り返りを発表した。Withコロナにより「フード・菓子」ジャンルが急成長を遂げたほか、地方での導入店舗数の急増、決済方法の変化などを読み解いた。

2020年に感染が拡大した新型コロナウイルスの影響を受け急成長を遂げたEC市場も、コロナ禍の長期化により特需が落ち着き、2021年の物販系分野のBtoC EC市場規模は13兆2865億円で前年比8.61%増と、2020年と比較し伸び率が鈍化している。こうした状況を受けGMOメイクショップは、EC市場の傾向を探り、事業者の課題解決に取り組むため、コロナ禍3年目においても成長を続ける「MakeShop byGMO」のデータを分析したとし、その結果を公開した。


▲流通額の月間・年間推移

ECサイト構築SaaS「MakeShop byGMO」導入店舗の売上の合計である流通額は、年々増加を続け、ECサイト構築SaaS業界で10年連続No.1を獲得した。2020年は特に、コロナ禍による巣ごもり消費需要の増加から急成長を遂げ、前年比135%の2343億円となり、2021年はそこからさらに117%成長し2749億円に達した。2022年は、特需が落ち着く中でも2桁成長の推移となっており、3000億円に到達する見込みとしている。

月間流通額の推移を見ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最も受けた2020年は、緊急事態宣言の発令により外出自粛の意識が高まった4月から6月にかけて流通額が伸びるなど、特徴的な波形であった。対して2022年は、コロナ禍以前の2019年のグラフと近い波形であるのが見て取れた。長期化するコロナ禍と向き合いながら日常を取り戻し、イベントの再開なども行われる中で、ECの利用もコロナ禍以前の季節需要に応じた動向へと戻りつつあることがうかがえるとしている。


▲ジャンルごとの導入店舗数・注文数・流通額の傾向

「MakeShop byGMO」は、幅広いジャンルの事業者に導入されている。2022年12月現在、最も多いのは「フード・菓子」ジャンルで、導入店舗のうち18.1%を占める。次いで「ファッション・ブランド」が13.2%、「生活・インテリア・文具」が12.7%となっている。2019年までは「ファッション・ブランド」が最も多く15.2%だったが、2020年に「フード・菓子」が逆転し、以降増加を続けている。この背景には、コロナ禍で飲食店が営業自粛に追い込まれたことや、外出自粛により食品のお取り寄せ需要が増加したことから、飲食店や食料品店のEC化が進んだことが影響していると考えられると推察している。

ジャンルごとの注文数を見ても、2019年は1位が「ファッション・ブランド」で全体のうち17.2%を占めた。2位は「フード・菓子」で13.4%、3位は「生活・インテリア・文具」で9.3%だった。対して2022年1月~11月のデータでは、「ファッション・ブランド」が17.9%、「フード・菓子」が17.6%とほぼ並んでいる。クリスマスやおせち、お歳暮など、12月は特に「フード・菓子」の注文が増えるため、年間注文数では「フード・菓子」が「ファッション・ブランド」を抜いて1位になることも予測できるとしている。一方ジャンルごとの流通額では、2022年1月~11月のデータは、1位が「ファッション・ブランド」12.6%、2位が「フード・菓子」10.4%、3位が「家電・AV機器・カメラ」9.%%の順となった。「フード・菓子」は商品単価が低いこともあり、流通額では「ファッション・ブランド」に及ばない結果だった。


▲決済手段ごとの注文数・売上傾向

2022年1月~11月の注文数を決済手段ごとに見ると、1位はクレジットカード決済で54%、2位はID決済で16%、3位は銀行振込で9%だった。2019年と比較すると。ID決済が10ポイント増加し、急成長している。この背景には、キャッシュレス化の浸透に加え、コロナ禍が追い風となり実店舗でも非接触で購入できるID決済などの利用頻度が増え、ECの注文においても利用されるようになったことや、非対面受け取りのために減少した代金引換と置き換わったことが影響していると推察している。

「MakeShop byGMO」では、ECサイトの利便性向上による売上獲得を支援するため、決済方法を拡充している。実際にクレジットカード決済のみを導入している店舗と、ID決済など複数の決済方法を導入している店舗の売上を比較すると、複数の決済方法を導入している店舗の売上のほうが高い傾向となり、クレジットカード決済以外に3種の決済方法を導入している店舗の場合には、クレジットカード決済のみの店舗の4.8倍も売上が高いといったデータも出ている。


▲地域ごと導入店舗数

地域別の導入店舗数では、関東が最も多く全体の46%を占めている。しかし、2022年と2019年を比較した成長率で見ると、九州が150%と最も伸びており、次いで四国が141%、中部・北海道が131%となった。首都圏に近い関東では以前からEC化が進み、「MakeShop byGMO」の導入も多かったところ、コロナ禍で観光業が打撃を受けた地方事業者が販路拡大のためEC化に乗り出したことや、業務効率化のためにDX化を推進する動きが活発化したことが影響し、地方の導入店舗数が急増したと推測している。

地域別の導入店舗数をジャンルごとに見ると、関東・関西以外の地方では、以前より「フード・菓子」ジャンルの店舗数が最も多い傾向にあったが、コロナ禍により「フード・菓子」の成長はさらに加速。九州・四国・北海道・東北では30%以上を占めるまでになっている。一方、コロナ禍以前は「ファッション・ブランド」が最も多かった関東・関西のうち、関西では2022年に「フード・菓子」が追い抜き1位に浮上した。対して関東では、「フード・菓子」の店舗数は増加しているものの、依然として「ファッション・ブランド」が1位となっている。

GMOメイクショップでは、地方におけるEC化・DX化の支援体制を強化するため、2022年に香川銀行や百十四銀行、福岡商工会議所との連携を発表し、「MakeShop byGMO」の導入支援や、共催セミナーの開催によるEC運営ノウハウの提供を進めてきた。地方支援体制のさらなる強化を目指し、今後も地方銀行や商工会議所との連携を進めていくとしている。

コロナ禍3年目となり、新しい生活様式を取り入れながらも元の生活を取り戻している状況は、「MakeShop byGMO」導入における補助金の活用状況からも読み取れるとした。2020年は、巣ごもり消費需要に対応するべく新規導入店舗が前年比144%と急増。開店資金に補助金を活用する事業者も多く、経済産業省による「サービス等生産性向上IT導入支援事業」(以下:IT導入補助金)の申請希望者は、前年比527%と大幅に増加した。2022年も多くの申請希望を受け付けてはいるが、2020年と比較すると半分以下に減少している。

GMOメイクショップは、補助金や助成金を必要とする事業者が申請を行う際の作業負担を軽減し採択率を向上するため、2021年より行政書士法人や社会保険労務士法人と連携している。その結果、2022年にGMOメイクショップが支援したIT導入補助金の採択率は、全体平均の82.7%を上回る84.8%となっている。

2022年の「MakeShop byGMO」利用傾向において特徴的だった項目として、「海外販売機能」の導入店舗数の急増を挙げた。2022年4月の提供開始直後から円安の影響で注目が高まり、毎月100件ペースで導入店舗数が増加。12月14日時点で900件に到達し、海外販売による流通額も増加を続けている。円安傾向はピーク時と比較し落ち着きを見せているが、インバウンド消費の減少が回復していない中、越境ECへの対応によるウェブインバウンド需要の獲得に対する期待も大きく、また「海外販売機能」は追加費用負担もないため、引き続き導入店舗数の増加が見込まれるとしている。

「MakeShop byGMO」は、変化し続けるEC市場の動向や、多様化する顧客課題に柔軟かつスピーディーに対応するため、システムをフルリニューアルする「次世代EC開発プロジェクト」を進行している。2022年11月末にはインフラ基盤の移行が完了し、急な高アクセス時にも性能低下を起こさない高稼働率・高可用性を実現した。今後は、アプリケーション周りのリリースを実施し、より安心・安全で拡張性のあるシステムを提供することで、“誰もがECを利用できる環境=EC普及率100%“を目指して取り組んでいくとしている。

GMOメイクショップは今後も、広範なEC領域において、店舗が抱える様々な課題を解決できるようサービスの強化を図り、国内のEC市場の活性化に貢献していく考えを示した。




RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事