2024.06.06

【実在庫ないのに「ある」は平均8%】エイブリィ・デニソン、RFIDによる在庫データ精度向上で売上増

加藤順也マネージングディレクター

RFID(無線周波数識別)による商品在庫の読み取りシステムを提供するAvery Dennison Corporation(以下エイブリィ・デニソン)はこのほど、日本国内の小売企業12社を対象に、棚卸の精度を分析した資料「その商品は今どこに?在庫データの不正確さがもたらす見えないコスト」を公開した。

同社の分析によると、実際は在庫がないのにデータ上は「ある」となっている「ゴーストストック」の割合は、平均8%に及んだという。同社によると、ゴーストストック率を2%減らすごとに、実店舗の売り上げが1%高まる傾向があるという。


1万点中800点が存在しない


エイブリィ・デニソンでは、国内の大手アパレル専門店、スポーツ専門店、ドラッグストアなど12社の小売店舗を対象にした、棚卸に関する調査結果を分析したという。その結果、12社の在庫データの精度の高さは、平均で70%だったという。例えば、商品が1万点あった場合、正確に帳簿に記録してある商品が7000点、実際の帳簿とずれが生じている商品が3000点ある状態だったとしている。
 
在庫データの精度が70%を下回る企業も6社あったという。
 
調査の対象となった企業の、ゴーストストック率の平均は8%だったという。在庫データ上は1万点商品があるとなっていても、実際には800点が存在していないことになるという。
 
エイブリィ・デニソンの加藤順也マネージングディレクターによると、実店舗の在庫は、誤入荷や、店舗間の在庫移動、店員による窃盗、盗難があったという勘違いなど、さまざまな理由で、在庫データとずれていくのだという。
 
棚卸は、企業によって頻度が異なり、月に1回実施する企業もあれば、半年に1度しか実施しないケースもあるのだという。頻度が少なければ、データとの乖離が大きくなる傾向もあるとしている。
 
ECでも、実店舗から商品を発送しているケースでは、ズレが生じる。ECサイトの在庫点数が「3」と表示されていても、実際の店舗では在庫がないというケースもあるのだという。
 
顧客の満足度の低下や、ブランドの毀損にもつながりかねない事態だとしている。


ユニクロにも提供


エイブリィ・デニソンでは、RFIDを用いた在庫管理システムのUHF帯のタグにおいて、世界トップシェアを誇っているという。
 
国内では、同社のRFIDのサービスを、ファーストリテイリングの実店舗が導入しているという。「ユニクロ」に対しては、商品のタグに埋め込まれたICチップから商品情報を読み取る仕組みを提供している。




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