2023.03.27

「一般社団法人サイバーセキュリティ連盟」を新設 セキュリティ連盟が社団法人化

セキュリティ連盟は3月24日、一般社団法人化し「一般社団法人サイバーセキュリティ連盟」を新たに設立した。これに伴い、独立行政法人情報処理推進機構 専門委員 小川隆一氏、明治大学サイバーセキュリティ研究所 所長 齋藤孝道氏を新たに理事に迎えた。産官学との連携を一層強化し、各業界でのサイバーセキュリティ対策を推進し“サイバー防御力”と“サイバーセキュリティマインド”の底上げをしながら、サイバー攻撃による「深刻な被害」ゼロを目指す。

2022年2月に結成したセキュリティ連盟は、経営者の意識改革を行う啓発アクションとして、「サイバーセキュリティ対策の重要性を啓発する」ことを目的としたイベントを年4回開催するなどの活動を実施。約1年でみずほ銀行、SBI証券、三菱UFJニコスなどを含む170社の企業の賛同を得た。

2023年3月24日には一般社団法人化し、「一般社団法人サイバーセキュリティ連盟」(以下:サイバーセキュリティ連盟)を新たに設立し、記者会見を実施。一般社団法人化に伴い、独立行政法人情報処理推進機構 専門委員 小川隆一氏、明治大学サイバーセキュリティ研究所 所長 齋藤孝道氏を新たに理事に迎えた。

公開活動として、サイバーセキュリティ対策の普及啓発イベントやセミナーなどの開催、最新のサイバー攻撃情報(トレンド)・対策事例などの情報発信、サイバー攻撃関連の調査を定期的に実施、サイバーセキュリティ特化版ツール開設を行う。

また、会員向けに、セキュリティインシデントに関するクローズドセミナーの実施、サイバーセキュリティ連盟の加盟企業間での情報交換とそれを基にした情報発信、専門用語の解説など基礎講座、テーマ別に学べる専門講座、セキュリティ担当者・情報システム担当者の為のワーキンググループ形成・運営を実施する。

昨今、社会全体のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の進行に伴い、サイバー攻撃被害が急激に増加。2022年4月には、個人情報保護法改正による罰金上限の引き上げや警察庁でのサイバー警察局設置など、国単位ではサイバーセキュリティ対策が着々と進んでいる。

一方で、企業単位でもブランドの毀損を始めとした大きなリスクがあるにも関わらず、経営者の多くが事態をまだまだ深刻に捉えられておらず、対策が後手に回っているのが実情だとし、このような課題を持つ企業34社が集結し、2022年2月にセキュリティ連盟を結成した。このほど一般社団法人化し、団体名を「サイバーセキュリティ連盟」と改称し、関連機関を含む中央省庁・大学との連携をより一層強化することで、サイバー攻撃による「深刻な被害」ゼロを目指し、日本企業へ「サイバー攻撃対策の重要性」を啓発していく考えを示した。

設立に伴う記者会見では、サイバーセキュリティ連盟の代表理事であるサイバーセキュリティクラウドの小池敏弘氏・西澤将人氏が、サイバーセキュリティ連盟の設立背景、活動内容、「サイバーセキュリティマインド」調査レポートを発表。今後の目標として、まずは役職ごとのサイバーセキュリティマインドの差をなくすことを提示した。そのためのアクションとして、若手社員のサイバーセキュリティマインドの底上げを目的としたサイバー攻撃体験研修を2023年4月4日に実施すると発表した。

新理事の独立行政法人情報処理推進機構 専門委員 小川隆一氏は、今回の就任にあたり、「セキュリティ意識をどうモチベートするのかが大きな課題となっており、行政で情報発信を行っているものの、面にならず点になってしまっているのが現状です。行政での啓蒙には限界があるため、サイバーセキュリティ連盟のような組織があれば横の繋がりが生まれます。今後、横での展開、どう周りを巻き込んでいくのか、どのように意識を共有するのかなど、民間で情報共有していく仕組みが出来れば良いと思っており、サイバーセキュリティ連盟もその方向でリーダーシップを持って活動をしていければと考えております」とコメントした。


▲独立行政法人情報処理推進機構 専門委員 小川 隆一氏

同じく新理事の明治大学サイバーセキュリティ研究所 所長 齋藤孝道氏は、「昨今日本を取り巻く安全保障の問題は厳しい状況が続いています。昨年末、国として安全保障をどうするかの戦略を描いた安全保障関連3文書が公開され、その中でサイバーセキュリティを強化することが明記されています。サイバーセキュリティ強化のためには、人の教育が大切であり、昨今は民間の中から自発的に行っていくことが大切になっています。国がどうにかしてくれるというフェーズではないという意識が、既に民間にあると思うので、リーチできていない方々に、サイバーセキュリティ連盟の発信力を持って伝え、盛り上げていければと思います」と述べた。


▲明治大学サイバーセキュリティ研究所 所長 齋藤孝道氏

経済産業省、総務省からもサイバーセキュリティ連盟に対してのコメントが寄せられ、経済産業省 商務情報政策局 サイバーセキュリティ課の奥田修司課長はビデオメッセージにて、「世の中の方々にサイバー攻撃がどういうもので、どういった対策が必要なのか知っていただくという最初のスタートが、うまく広がらないとうこともあり、連盟の皆様と一緒に進めていくことができれば経産省としても非常に意義のある取り組みになります。連携させていただくことにより、多くの方々にサイバーセキュリティの重要性を認識いただき、サイバーセキュリティ対策をとっていただければと思っております」と話した。


▲経済産業省 商務情報政策局 サイバーセキュリティ課 課長 奥田修司氏

総務省 サイバーセキュリティ統括官付参事官 小川久仁子氏「我が国の社会全体のデジタル化が進む中で、サイバー攻撃のリスクが高まるとともに、サイバー空間に参加する層が広がっています。“Cybersecurity for ALL”(誰も取り残さないサイバーセキュリティ)の観点からは、サイバーセキュリティ連盟の皆様が目指されている、サイバーセキュリティ強化の重要性に関する普及啓発活動は、大変重要です。サイバーセキュリティ連盟の皆様において、普及啓発イベントの開催や情報発信、セキュリティ担当者等のコミュニティ形成などを行われることにより、サイバーセキュリティ対策は「コスト」ではなく「投資」であるという意識の変化につながるものと大いに期待しております」とコメントした。




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