2023.01.21

【EC事業者に聞く!2023年の戦略】ビタブリッドジャパン 西守穣執行役員「EC地殻変動、ユーザーはSNSへ」


化粧品やサプリのECを展開するビタブリッドジャパンで執行役員を務める西守穣氏は、2023年の化粧品やサプリのD2C市場について、「SNSの媒体を組み合わせたマーケティングが必要になってくるのではないか」と予想している。ユーザーのウェブ上での行動が、グーグル検索からSNSでの検索へと移行しつつある現在、インフルエンサーの重要性は、従来よりもはるかに高まっていると話す。


2022年は、EC市場で大きな地殻変動が起きていると感じた一年だった。

化粧品やサプリのD2C/単品リピート通販は、効率よくウェブ広告を打って新規顧客を獲得するビジネスモデルだが、肝心の新規顧客が、これまでと同じようには獲得できなくなっている。

これまでは、広告を見たユーザーが、そのままランディングページで商品を購入していた。それが今では、直帰率が高まり、その場で購入するユーザーが減少してきている。代わりに台頭してきたのが、SNSでの「再検索」の習慣だとみている。今の20〜30代は、グーグルで検索する代わりに、気になる商品をSNSで検索する習慣に変わってきている。以前からその傾向はあったが、その流れが大きく加速し始めている。

SNSで商品を再検索する習慣は、広告が刺さりやすい年配のユーザーにも、やがて波及していくと考えている。

ミドル層にも、動画アプリ「TVer(ティーバー)」などが当たり前に普及し始めている。従来のマーケティング手法だけでは、顧客の行動を捕捉しきれなくなってきている。

SNSの中でもユーザーの移動が起きており、ユーチューブを見て過ごしていた人が、インスタグラムやTikTokに流れるようにもなってきている。

今後は、従来型の広告のみのモデルでは立ちゆかなくなる。SNS媒体での展開を合わせた、商品開発やマーケティングが勢いを増していくのだろう。インフルエンサーが商品開発を主導するP2C(パーソン・トゥ・コンシューマー)のヒット商品も増えていくのではないか。インフルエンサーは自分の権威性を最重要視するため、プロダクトの品質を重視する流れも加速すると思う。

2023年は、ウェブ広告の分野にAIが入ってくると考えている。AIが作成を補助したバナー広告や記事広告が、大量に出稿されるようになるのではないか。AIが捏造した商品レビューも、大量に生産されていくだろう。AIが生成した画像であれば、肖像権も発生しない。フェイクがあふれ、SEOやUGCの信頼性が落ちてしまうのではないか。

検索結果の重要性が落ちることもあり、2023年はインフルエンサーがマーケティングに一層、大きな役割を果たすようになると考えている。




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