2022.12.21

世界最大の建材サンプルモールの日本版「Material Bank Japan」、来春公開に向け実証事業を開始 建築デザイナーの働き方改革推進

世界最大の建材サンプルマーケットプレイスである米国「Material Bank」の日本での事業展開を行うDesignFuture Japanはこのほど、「Material Bank」初の海外展開として、日本での運用実証事業を2023年1月より開始すると発表した。実証事業スタート時には、「Material Bank Japan」のビジョンに賛同するデザイナーと、約60社の建材メーカーが参加。約3カ月をかけてシステムや運用のサービスレベル、業務効率化や環境負荷軽減への効果を検証し、来春の正式公開を目指す。

米国「Material Bank」は、MATERIAL TECHNOLOGIES CORPORATIONが運営する世界最大の建材サンプルマーケットプレイス。複数ブランド横断検索・一括請求システムと確立された物流設備を組み合わせた独自のシステムにより、全米のどこへでも、深夜0時までの注文で翌日の配送を実現。設立から3年で参加デザイナー数10万人、取扱メーカー数450社を超える規模に成長した。

日本での事業展開を行うDesignFuture Japanは、2023年1月より「Material Bank」初の海外展開となる日本での運用実証事業を開始する。約3カ月間の実施期間に、メーカー・デザイナー間のコミュニケーション改善、サービスのユーザービリティ、デザイナーの業務効率化の検証・環境負荷の軽減、環境負荷の軽減などについて検証を行う。

同実証事業には、「Material Bank Japan」のビジョンに賛同するデザイナー(インテリアデザイン、建築設計、ディスプレイ設計などに従事するプロフェッショナル)と、建材メーカー約60社が参加。いずれも実証事業中に徐々に拡大を予定している。

「Material Bank Japan」は米国のサービス同様に、多様なメーカーの建材サンプルを1つのサイトで素早く検索でき、深夜0時までの注文で最短翌朝に1箱で商品を受け取れる建材サンプルマーケットプレイス。複数ブランド横断検索・一括請求システムと確立された物流設備により、デザイナーは無料でサンプル取り寄せ業務の効率化を実現できる。2019年にサービス開始した米国「Material Bank」での実績として、北米だけで10万人を超えるデザイナー(設計事務所ベースでトップ大手200社の94%)が利用しており、1日あたり約8万個の建材サンプルを届けている。「Material Bank Japan」においても、同等のサービスレベルを目指す。

米国「Material Bank」は「気候変動対策に関する誓約(The Climate Pledge)」に署名しており、2040年までにゼロカーボンの達成を目指している。多くのメーカーの建材サンプルをひと箱にまとめて配送することで累計300万回分を超える配送削減を実現。さらにこれまでに21万kg以上ものサンプルを再利活用し、埋め立てや廃棄を削減している。

「Material Bank Japan」においても、建材の良さが最大限表現されるようデザインされているだけでなく、サステナビリティにも配慮し、返品ボックスとしても利用できるオリジナルサンプル配送トレーを採用。米国での実績では、デザイナーは1回のサンプル請求で平均4社の建材を請求していることから、各メーカーからの発送を「Material Bank Japan」からの1括発送に変えることにより、発送個数を約75%程度削減でき、環境負荷軽減が期待できるとしている。



日本国内の建材市場は、2025年度には1兆9782億円(2020年度比107.7%)と予想されるなど、引き続き拡大傾向にある。こうした状況において、裁量労働制も多く、業務時間が長くなりがちなデザイナーの働き方改革が求められている。米国「Material Bank」が行った調査では、デザイナーが業務時間の約4割を建材サンプル探しと取り寄せに使用していたという結果が出ている。プロジェクトで必要な建材サンプルは、例えばひとつの空間設計においても壁装材、床材、天井など多岐に渡る。現状の業務フローでは、多くのメーカーから個別に、カタログ、見本帳、Web検索、電話、FAX等、異なる取り寄せ方法で発注。さらにバラバラのタイミングと異なる規格で届いた梱包を受け取り、開封し、サンプルを仕分け、梱包材を廃棄するという煩雑な作業が生じている。



「Material Bank Japan」では、この建材にまつわる煩雑な作業を可能な限りシンプルにすることで、デザイナーの働き方改革に貢献。本来のデザイン業務に集中できる環境づくりを支援する。また、メーカーに対しても、デザイナーとのダイレクトなコミュニケーションが叶うツールやサンプル請求時の案件情報の提供により、これまでよりもニーズに合った提案がしやすい環境を提供する。結果とし、彩り豊かに様々なデザインの選択肢があり、違いを楽しめるような社会をつくることを目指し、日本でのサービス開始に至ったとしている。

実証事業期間中に、システムや運用の状況を見ながら少しずつ登録デザイナーの枠を増やし、来春の正式公開までに3000名程度のデザイナーへのサービス提供を目指す。その後は米国「Material Bank」同様に、3年以内に10万名規模のデザイナーへのサービス展開を目指す考えを示した。




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