2024.10.24

消費者庁、ECの処分は特商法にシフトか 特商法の誇大広告処分が1年で5件に

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特定商取引法による、通販の誇大広告に対する行政処分が相次いでいる。消費者庁は2024年1月以降、通信販売事業者5社に対して、業務停止命令を行っている。執行強化の背景には、消費者庁が2023年9月に、取引対策課内に「デジタル班」を設置したことがあるようだ。2022年6月に施行した改正特商法では、最終確認画面の表示義務を新たに規定した。こうした違反の取り締まりを強化しているようだ。特商法に詳しい専門家の中には、「ECに対する取り締まりは、景品表示法から特商法にシフトしたのではないか」と話す弁護士もいる。



5社5様の誇大広告処分


2024年1月以降に特商法で行政処分を受けた通販会社は、①サン ②オルリンクス製薬 ③HAL ④SUNSIRI ⑤HappyLifeBio――の5社だ。
 
5社とも共通して、「誇大広告」と「最終確認画面の表示義務違反」が認定されている。
 
ただ、5社が指摘されたポイントは、「ナンバーワン表示」「虚偽の解除条件」「実在しない価格」「ビフォーアフター」などとなっており、まちまちだ。


特商法改正の見せしめか


取引対策課では、「景品表示法を所管する表示対策課とは、庁内で綿密に連携している。どの案件をどの法律で対処するかなども連携している」(統括消費者取引対策官 加藤純氏)としている。
 
仮に、通販事業者の違反事項が特商法にも景表法にも抵触する場合、どうなるのか。表示対策課では、「取引対策課と連携はしているが、よほどのケースでなければ、2つの法律で二重に行政処分を行うことはないのではないか」(高居良平課長)と話している。
 
特商法に詳しい、東京神谷町綜合法律事務所の成眞海(せい・しんかい)弁護士は、「2024年度はEC系に対する景表法の措置命令が1件もない。特商法で業務停止命令を行った方が、事業者のダメージが大きいため、ECに対する取り締まりは特商法中心の執行に移行したのではないか」と話している。
 
薬事法広告研究所の稲留万希子氏は、「いずれも、2022年6月1日施行の特商法の改正内容を意識させる、見せしめ的な要素が関係しているのではないか。特商法を適用すれば、業務停止命令にできるということを示したかったのではないか」としている。

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