機内食の製造・販売を行う老舗企業、ティエフケーは2023年11月、家庭向けの冷凍食品ブランド「N’s DELI」を立ち上げた。
現在、シンガポールやインド、韓国など世界の料理を冷凍食品とし100種類を展開し、自ECサイトで販売している。今後は同ブランドをはじめとした非航空事業に注力し、全社売り上げの50%を確保したい考えだ。
▲世界の料理を家庭で堪能できる「N’s DELI」 機内食事業中心の経営から脱却
同社は新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の縮小をきっかけに、2020年から「Amazon」などで機内食のネット販売を始めた。当時はあくまで機内食の販路の確保が目的だったため、EC販売における商品のブランディングなどは行っていなかったという。
自社の技術を生かした商品をより多くの人に届けるためには、機内食事業中心の経営からの脱却が必要という考えのもと、2023年に一般家庭向けの冷凍食品ブランド「N’s DELI」を始動した。
▲展示会の様子時間が経ってもおいしく安全に料理を提供できる技術や、各国の調味料や香辛料を使って本場の味を再現するレシピ、シェフの質などが強みだ。創業から60年以上、機内食の製造を行ってきた同社の強みを存分に生かした商品開発を行っているという。
「展示会などで試食してもらうと『冷凍食品とは思えない』という感想をいただくことが多い。ファーストクラスクオリティーの食事を自宅でも楽しんでほしい」(コマーシャルマーケティング部門 コオ・ザンドラ氏)と話す。
ブランドの認知拡大に注力
今後は、インスタグラムやユーチューブなどのオンライン広告を活用し、認知拡大を狙う方針だ。
さらに7月末には、「Amazon」や「楽天市場」にも出店する予定だという。自社ECサイトでは5食、もしくは10食を指定のメニューでセット販売しているが、ECモールでは顧客が自ら好きなメニューを選んで購入できるようにする考えだ。
▲自社ECではセット販売している 「製造のノウハウは最大の強みだが、一方で当社は大手航空会社のようなネームバリューはない。だからこそ『N’s DELI』というブランドの認知拡大に尽力したい。特に最初の1年は試行錯誤を重ねていく」(同)と意気込みを語った。