2024.04.17

家電ECのエクスプライス、不正利用被害を9割以上削減できた秘訣とは?スクデット提供のAI不正検知「Sift」を活用

エクスプライス 取締役営業本部長 大西剛氏


ホームセンター事業を主として行うDCMホールディングスの100%子会社で、家電製品を中心とした総合ECサイト「XPRICE(エクスプライス)」を運営するエクスプライスは2023年8月、スクデットが提供するAI型不正検知サービス「Sift(シフト)」を導入した。エクスプライスではそれまで、月間100万円以上の不正利用被害に頭を悩ませていたが、「Sift」の導入以降、不正利用被害を9割以上削減することができたという。「Sift」を導入した背景や成果について、エクスプライス取締役営業本部長の大西剛氏に、話を聞いた。



不正利用被害が月間百数十万円に


――不正検知サービス「Sift」を導入した狙いを教えてほしい。

不正利用の被害が拡大し、経営上無視できないレベルになっていたことが背景にある。

当社は家電製品を中心としたECを運営している。自社ECサイトの売り上げ割合はかなり大きい。さらに、楽天市場などのECモールにも出店している。高単価で転売されやすい商材も販売しているため、自社ECサイトが不正利用の標的になっていた。

2022年には、不正利用の被害がピークに達し、月間百数十万円にまで及んでいた。件数は、月間20件程度発生していた。

不正利用はさまざまな形で発生していた。注文者が入力した情報から不正だと判断できるケースもあれば、それだけでは見分けがつかないようなケースもあった。

当社では「Sift」の導入までは、EC担当者が、目視で不正注文を見分けていた。担当者が不正注文を見分ける技術は向上していたが、ECの売り上げ規模が大きくなるほど、不正注文の数も増加していた。不正が巧妙化してきていたこともあり、担当者が目視で見分けるのには限界があった。

そうした背景から、不正検知サービスの導入を検討し、スクデットが提供する「Sift」の導入に至った。


不正が明確でない取引は目視で確認可能


――「Sift」を選んだ理由は?

複数の不正検知サービスを検討した結果、業務の効率化などを考えて、AI型、機械学習モデルをベースとしたサービスを導入したいと考えた。正しい注文を誤って排除してしまうような誤検知は避けたいとも考えていた。システムでは明確に判定できない取引の場合、目視でチェックする機能を備えたサービスを導入したかった。

検討した結果、いずれの機能も持ち合わせている「Sift」に決定した。目視が必要な取引の件数も、AIの機械学習によって最小化できる点に魅力を感じた。従量課金タイプで、コストパフォーマンスが良いと考えた。不正対策に詳しいスクデットのサポートも頼もしかった。

――「Sift」を導入した結果は?

まず、不正購入の被害がほとんどなくなった。


▲大西剛取締役 営業本部長

2023年8月に導入して以降、12月末までの5カ月間で、合計の不正利用の被害が14万円だった。被害件数は4件だった。「Sift」導入前は、月間百数十万円の被害が発生していたので、9割以上削減することができた計算になる。

社内の業務品質の平準化にも貢献した。サービスの導入以前は、担当者が目視で不正を判定する作業に、1日当たり約2時間かかっていたところ、1日10分で済むようになった。

これまで当社で発生していた不正利用の被害の大きさから、クレジットカードのオーソリ承認率が低下していたという影響もあった。これまでオーソリ承認率は68%だったところ、「Sift」の導入後は、85%にまで上がった。つまり、不正被害を減らし、機会損失を減らして、売り上げアップにもつながったという形だ。


11%のかご落ち対策


――不正注文が大幅に減少したことで、今後実施したい施策は?


「Sift」を使って不正注文のリスクが低いと分かった注文については、EMV3-Dセキュアを通さずに注文を完了できるような仕組みを導入したい。当社では現在、すべての注文を、EMV3-Dセキュアに通しているが、それによって、カゴ落ちが11%程度発生してしまっている。

不正利用のリスクが低いと「Sift」が判定した注文については、カゴ落ちを発生させないような仕組みにしたい。もちろん、クレジットカード・セキュリティーガイドラインのEMV3-Dセキュア原則導入のルールからは逸脱しないように取り組んでいきたい。


 

「Sift」とは…

機械学習モデルの不正検知サービス。基本的にはシステムが不正の自動判定を行う。ECサイトの特徴に合わせてカスタマイズすることが可能だ。サイト内でのユーザーの行動全体をデータとして収集し、AI/機械学習モデルにより、解析・スコアリングを行うとしている。巧妙化する不正を、より高い精度で検知するという。機械学習が進むと、全注文の内、97~99%の注文を、不正注文の可能性が低い「低リスク」と判定することができるとしている。

▼「Sift」サービスサイト
https://sift.scudetto.com/







https://netkeizai.com/auth/register

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