2024.04.11

【現地レポート】パル、EC専用倉庫を稼働 キャパシティ拡張でEC売上2倍の500億円へ

パル 取締役 専務執行役員 堀田覚氏

パルは4月3日、アッカ・インターナショナル(以下アッカ)、Exotec Nihon(エグゾテックニホン、以下Exotec)と共同で、自社ECのための物流施設を稼働すると発表した。パルは倉庫のキャパシティーと人材の不足を解決し、2028年度までに自社EC売上高500億円を目指す考えだ。
 
パルは現在、自社サイト「PAL CLOSET(パルクローゼット)」で約250億円の年間売上高があるが、2028年度に2倍の規模となる500億円の売り上げを目指す。新倉庫稼働の背景について、「今後の成長において、ECは欠かせないパーツだ。成長基盤やシナリオをしっかり固めておくタイミングにアッカと協議を重ねて、システムなど倉庫に関する決定をした」(取締役 専務執行役員 堀田覚氏)と話した。


▲写真左からアッカ・インターナショナル 代表取締役社長 秀洋一氏、大和ハウス工業 東京本店 建築事業部 事業部長 村上泰規氏、パル 取締役 専務執行役員 堀田覚氏、Exotec Nihon アジアパシフィック地域 取締役社長 立脇竜氏


3倍の注文処理が可能


神奈川・平塚にある大和ハウス工業の「DPL平塚」内に新設した「PAL CLOSET Robotics Solution Center(ロボティクスソリューションセンター、PRSC)」は、複数に分かれていた物流拠点を集約した施設。従来比3倍の注文処理が可能だ。作業員の負担やトラックドライバーの待ち時間を軽減し、店舗配送の効率化を実現する。
 
「PRSC」の延床面積は2300平方メートルで、天井高に合わせて5メートルのラック(保管棚)を設置した。約2万5000のコンテナに商材を保管する。アッカが提供する倉庫管理システム「ONE(ワン)」とECデータ管理システム「ALIS(アリス)」、Exotecが提供する倉庫ロボティクスソリューション「Skypod(スカイポッド)」で倉庫作業の最適化を実現する。


ボトルネックを解消


システムの活用について、「従来の倉庫がパルのEC事業の成長のボトルネックとなるリスクがあった。『2024年問題』の人材不足などの課題を解決するため、収容力と生産力を向上させた」(アッカ・秀社長)と説明した。
 
「Skypodシステム」は、ラックごと動かすAGV(無人搬送車)ではなく、走行ロボットが商材をステーション(ピッキングエリア)へ搬送する仕組みだ。ロボットがラックを昇降することで、倉庫の天井の高さを生かし、従来比3倍の高密度保管を実現している。


▲搬送とピッキングの様子
 
「『Skypod』はECが発達してきてから設計された新しいシステム。ニーズに合わせて、一つのシステムでECの個配送と店舗向け配送の同時処理をするなど、パルのEC事業の成長を持続的に支えられる」(Exotec 立脇社長)と強調した。
 
今後については、「新たな成長への不安が一つ取り除けたと思う。成長に向けて顧客に対するサービスを充実させていきたい」(パル 堀田氏)と話した。
 
入出庫のさらなる効率化に向け、梱包などのシステムの増強を実施する予定だ。




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