2024.03.24

ECヘビーユーザー500人に「物流2024年問題」意識調査 76%が認知、44%が「5%以下の価格転嫁」を受容

ディーエムソリューションズはこのほど、月に1度以上ECで買い物をするヘビーユーザーを対象に実施した「物流2024年問題に関する消費者意識調査」の結果を公開した。物流の「2024年問題」について約8割が認知しており、商品価格や届くまでの日数に影響が出ることに対し、約7割が肯定的な意見であることなどがわかった。

ダイレクトメールの発送代行サービス、およびEC物流代行サービス「ウルロジ」、インターネット事業等を展開するディーエムソリューションズは、物流の2024年問題が開始する4月を前に、「物流2024年問題に関する消費者意識調査」を実施した。月に1度以上ECで買い物をするヘビーユーザー500名(全国の20代~60代の男女)対象に、2023年2月~3月にかけて2度の調査を実施し、その結果をまとめた「調査セット」の提供を開始した。

2024年問題とは、「働き方改革関連法によって、自動車運転が伴う業務の年間時間外労働時間の上限が960時間(80時間/月)に制限されることで生じる課題群」を指す。背景には、労働参加率・生産性の向上に向けて2019年4月から順次適用が開始された「働き方改革関連法案」があり、この法案が2024年4月より運送・建設・医師等にも適用されることから2024年問題と言われている。



物流の2024年問題を知っているかをたずねた問いでは、「知っている」が41.0%、「なんとなく知っている」が35.0%で、合わせて約8割の人が認知している結果となった。テレビ等のマスメディアを中心に、2024年問題について触れる機会が多くなってきていることを要因として挙げ、消費者が自らの生活に直接影響を及ぼす可能性のある問題として、一定の関心を持っていることも示しているとした。4月以降も認知度はさらに向上し、社会課題となる可能性も高いと推察している。



2024年問題により、今後商品価格や届くまでの日数に影響が出るかもしれないとし、2024年問題からくる暮らしへの影響に関しての心情をたずねたところ、「今までが便利すぎたから仕方がないと思う」の回答が49.6%ともっとも多く、3番目に多かった「当然だと思う」(18.8%)と合わせ、約7割が商品価格や届くまでの日数に影響が出ることに対して肯定的な意見であることがわかった。



この結果を受け、ディーエムソリューションズは、他質問に比べ、日本の物流サービス品質に対する満足度が高く出ていることから、「今までが異常だった」といったような、日本の物流サービスの品質を再認識する考えが2024年問題を通じて出てきている可能性があるとした。

「現在よりも商品価格が上がる場合、商品価格の何%の値上がりまで受け入れられるか」をたずねた問いでは、もっとも多い44.2%が「5%以下」と回答、2位は「6~10%」(25.6%)だった。一方で、値上がり自体を「受け入れられない」と回答した人は16.2%だった。消費者の多くが、商品価格の上昇に対して一定の柔軟性を持っていることがわかる結果になったとし、こうした結果をもとに、物流・運送業界の積極的な待遇改善に期待したいとの考えを示した。



一方で、16.2%の人々が値上がりを「受け入れられない」と回答していることも重要なデータになるとし、こうした考え方を持つ層へ配慮し、そのニーズや懸念に対処することで、企業が価格変動に適切に対応し、顧客満足度を維持するためのポイントを取得できる可能性があるとしている。

なお、ダウンロードで提供しているより詳しい資料では、志向性で調査対象を分類しており、価格が上がることを受容できない割合の差に10.8ptの開きがあることが判明しているという。

「今後のEC・通販での購買時にEC運用側に求めること」をたずねた問いでは、「商品価格や梱包、届くまでの日数といったサービス品質の維持」という声は33.0%だった。



一方で、「ドライバーへの配慮といった2024年問題解決に向けた理解・取り組み」と、物流課題解決に向けた姿勢といったエシカル(倫理)的な行動を求める声が45.2%と約半数を占める結果となった。

これらの結果から消費者は、EC・通販での購買時に、単に商品価格やサービス品質だけでなく、より広い視点での要求を持っていることが分かった。特にSDGsのようなエシカルな行動や社会的責任に焦点を当てた要求が2024年問題を機に物流においても起きており、これが顧客の購買意欲や意思決定に影響を与える可能性があるとしている。

EC事業者側に求められることには、単なる商品提供だけでなく、ドライバーや労働者への配慮や物流課題への取り組み、持続可能な取引の実践など、より広範な社会的責任を果たすことも含まれていくようになるかもしてないと推察し、今後はそうした取り組みを開示していくような流れもあり得るとの見解を示した。

顧客は企業が自社の利益だけでなく、社会や環境への責任を認識し、積極的に行動する姿勢を評価して支持する傾向があることから、今後、物流業務でEC事業者が考える必要のある業務は複雑化していくことが見込まれるとした。

今回、ダウンロード提供を開始した「調査セット」では、こうしたEC事業者が今後抱える可能性のある課題のリストアップと解決策も提案している。

さらに、「調査セット」では、「2024年問題への課題意識」「送料や梱包、届くまでの日数といった、日本の物流サービス品質への満足度」「2024年問題による到着遅延に関する受容できる日数と割合」「値上げや到着遅延による、実店舗への移り変わりを検討する割合」「2024年問題解決に向けた理解・取り組みを実施する企業への印象」等の結果も紹介している。




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