コラーゲンを配合した化粧品や健康食品の通販を展開するニッピコラーゲン化粧品では、主力の粉末コラーゲン「ニッピコラーゲン100」の定期購入の利用頻度や購入単価が高まっているという。コロナ禍の健康志向の高まりが、購入を後押ししているようだ。こうしたことを要因に、同社ではコロナ以降、毎年2桁増収を続けている。同社の内田恭平常務取締役に、同社の2桁増収の要因と、今後の事業戦略について聞いた。
コロナ以降毎年2桁増収
――2022年の健康食品の通販の進捗はどうか?健康食品の通販はコロナ以降、毎年10%程度の増収を続けている。2022年3月期の当社の通販の売上高は、化粧品も健康食品も含めて約60億円を超えた。そのうち、健康食品が、70%程度に当たる45億円を占めている。
コロナ禍になってちょうど3年になるが、通販業界全体で見れば、2020年は「コロナ特需」の恩恵を受けた企業が多かった。一方、コロナ2年目の2021年以降は、成長が鈍化したという企業も多かったのではないか。
化粧品や健康食品の分野では、新規参入した企業も多く、顧客にとって選択肢が増え、競争が激化したという側面がある。広告規制が強化されたことで、各社が、広告で表現できることが限られてしまうということも起きた。
当社の場合、幸いなことに、コロナ以降、継続して通販の売上高は2桁成長を続けている。新規顧客の獲得が順調に進み、定期購入顧客として定着している。
成長のベースとなっているのは、コロナ禍を背景とした、健康志向の高まりだ。
当社の主力の健康食品は、粉末状のコラーゲンサプリ「ニッピコラーゲン100」だ。当社の健康食品の売り上げのほとんどを占めている。
「ニッピコラーゲン100」の、既存の定期顧客の利用頻度や購入単価が高まっている。1人当たりの使用量が増加していることが考えられる。これまで1人で使っていた家庭が、家族で使うようになったのではないかとも考えている。
既存の製品に安心感
――「ニッピコラーゲン100」について教えてほしい。当社独自のコラーゲンの粉末を顆粒にした商品だ。コラーゲン粉末110グラム入りのパックが3つ入ったセットと、5グラム入り30包のセットの2種類を販売している。
コラーゲン製品の中では、世界で一番と言ってもいいほど、無味無臭の製品となっている。コーヒーやオレンジジュース、シチュー、カレー、みそ汁などに入れて飲んでもらう。
コラーゲンであるため、一般的に、肌のうるおいや骨、軟骨などのケアにつながる。
新しい健康食品の成分や、奇をてらった健康食品を求める消費者ニーズは減ってきているのではないか。
お客さまは、目新しい成分よりも、既存のよく知られた成分や製品の、安心感や安全性を求めるようになっているのではないかと感じる。
当社の製品は、親会社のニッピがコラーゲンの原料メーカーであることから、コラーゲンの品質がとても高いと自負している。品質が高いものを、フレキシブルに提供できる体制がある。
安全を担保できることから、新しく買ってもらう場合でも、長く続けてもらう場合でも、ハードルが低いのではないかと考えている。
売上高は増収で着地へ
――今期の業績の着地予想は?2023年3月期の売上高は、増収する見込みだ。
今期はウェブ経由の新規顧客が増加している。純粋なECの売上高は2割程度だが、オンラインの新規顧客の獲得比率は50%に及んでいる。
当社の顧客のボリューム層は50~60代だ。ただ、今後は、より若い世代もターゲットとしていく必要があると考えている。ターゲットを若く設定するのならば、インフルエンサーやアフィリエイターを活用して、ウェブの獲得施策を拡充していく必要があるとも考えている。
ただ、当社の強みは、長年オフラインの通販で培った、自社のコールセンターの体制にある。新規のお客さまを確実にロイヤル化する技術を持っている。EC主体の通販企業にはないアドバンテージだと思っている。
通販において、お客さまと企業の接点はよりリアルに近い方がいいと考えている。安易に自動化すべきではない。お客さまから料金をいただいてサービスを提供するのだから、お客さまの立場に立って、積極的に手間をかけて接客すべきだと考えている。