2023.05.06

【健康食品通販の専門家に聞く】ライフェックス 工藤一朗代表「商品や購入導線を見つめ直すリブランディングを」

ライフェックス 代表取締役 工藤一朗氏


健康食品や化粧品を中心としたD2Cのブランディングを支援するライフェックスによると、新規顧客獲得に苦戦するケースが、健康食品通販市場全体で多く見られるようになっているという。ライフェックス 代表取締役 工藤一朗氏は、「健康食品通販企業は、プロダクトや自社の世界観、購入導線を見直す必要がある」と話す。工藤氏に、健康食品通販の新規顧客獲得の状況や、必要なブランディングの考え方について聞いた。



ブランド強化でサバイヴ


――2022年の健康食品通販の広告市場について、どう思うか?


多くの通販企業が新規顧客の獲得に、苦戦している。CPOやCPAが高騰し、今までの広告の手法が成り立たなくなっている。広告投資の回収のスキームが変わってきている。

新規顧客獲得の手段としてアフィリエイト広告に比重を置いていた企業は、特に影響が大きい。アフィリエイトの記事型広告については、グレーな表現を使って顧客に購入させる方法が、社会的に問題になっている。

アフィリエイト広告から脱却するか、引き続きグレーなアフィリエイト広告を使い続けるかに二極化してきている。

アフィリエイト広告から脱却した企業は、ブランディングを強化して生き残っているケースが目立つ。自社でオウンドメディアを構築し、コンテンツSEOの対策をとっている。

ブランドに対する思いを強く持つ、本来あるべき姿の会社が増えている。

ブランドの考え方によって、サイトに集客するべきお客さまは異なるし、広告を出稿する媒体も異なる。ブランディングを強化することで、集客の方針も決まってくるはずだ。


表現が限定される


――どうして新規獲得が難しくなっているのか?


広告規制が強化されているからだ。これまで媒体の考査を通っていた、“顧客に刺さる表現”が、使えなくなってきている。商品の成分や機能性に関する文言、写真、体験談、専門家のコメントなどについて、使える幅が狭まってきている。

表現が狭まれば、競合商品と差別化しづらくなり、お客さまにどんなプロダクトか伝わりづらくなる。

行政による指導などが入って表現に規制が掛かるケースもあれば、広告を出稿するプラットフォームが規制を掛けるケースもある。

広告表現で差別化できなくなっていることから、商品を見つめ直し、商品のクオリティーを高める戦略をとるケースが増えている。

既存の商品であっても、世界観を新たに作り直し、ブランドの「魅せ方」を変える企業が多くなっている。


「購入の意思決定戦略」


――ブランディングにおいて、重要なことは何か?


「購入の意思決定戦略」をきちんと考えられていることが重要だ。ブランドの世界観と、お客さまが商品を買ってくれる導線がリンクしている必要がある。

ブランドが初めてお客さまと接点を持つ場合、どういったチャネルで、どういった人に、どういう世界観で、何を伝えるかを決める。そうすると、必然的に商品を販売するためのマーケティング戦略が固まってくる。

ブランドのPRにどんなイメージキャラクターをキャスティングするかも、その一つだ。

まずは、自社のブランドの考え方を整理し、ブランドの構造を明確にしていく必要がある。

どんな人に対して、どんなことを提供したいのか、何をかなえてあげたいのかをしっかりと整理する。ブランドの世界観を固め、商品開発や露出の方法、購入の導線を組み立てていく。購入後のお客さまとのコミュニケーションの方法や、接触頻度などといったCRMについても、ブランディングの延長だ。

プロダクトが先にあったとしても、そのプロダクトでどんな人に何を提供したいのかを改めて見つめ直し、整理すべきだと考える。





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