2023.04.25

【新連載】ステマ規制を徹底解説!ステマを避ける7つのステップとは?リーガルエックス 関山翔太氏に聞く

「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(以下、ステマ)」の運用基準について解説します。

ステマ規制の運用基準について説明する前に、大前提として理解しておくべき点があります。それは、ステマ規制が景品表示法に基づいているということです。「ステマ規制法」という新しい法律が制定されるわけではありません。現行の景表法における不当表示のうち、「商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあると認められ内閣総理大臣が指定する不当表示(以下、指定告示)」の7つ目として追加されます。


当表示の処分対象は事業者


事業者の表示が不当表示とされる要件として、①事業者が問題となる表示をしたこと ②その表示が不当表示に該当すること――の2つを満たす必要があります。不当表示をした事業者については、「表示内容の決定に関与した事業者」とされています。

景表法における不当表示を行った事業者に対しては、行為の差し止めや、一般消費者に生じた誤認を排除するための措置を命じる措置命令がなされます。

さらに、優良誤認表示及び有利誤認表示については、一定の要件を満たす場合に限り、当該商品又は役務の売上額に一定の率を乗じて得た額により計算された課徴金額を国庫に納付するよう命じる課徴金納付命令がなされます。

新たに指定告示に追加されたステマの処分対象は事業者であり、その処分は措置命令に限定され、課徴金は適用されません。

例えば、事業者が第三者にステマを依頼し、実際にステマが行われた場合でも、投稿者ではなく、ステマを依頼した事業者自身が処分対象となります。

これは、ステマが景表法のもとで規制されており、景表法における表示主体を考慮すると、自然な解釈となります。


規制対象は「隠された広告」


ステマの規制対象となるのは、「広告であることが隠されたまま行われる広告」です。事業者と投稿者の関係が明確で、広告であることが一般消費者にとって明瞭である場合、それらの行為は禁止されません。

現行法では、ステマが優良誤認表示や有利誤認表示に該当する場合は規制可能でしたが、それらに該当しなければ、ステマであっても規制できなかったのです。今回の規制は特に、優良誤認や有利誤認に該当しない純粋なステマを対象としています。

ステマとは、「一般消費者にとって事業者の表示であることを判別することが困難である表示」を指します。

これは、「事業者が自らの供給する商品またはサービスに関する表示(以下、事業者の表示)であるものの、事業者の表示であることが明確でないため、一般消費者が事業者の表示であることを判断するのが困難となる表示」を指します。

一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば、表示内容にある程度の誇張や誇大が含まれることを理解した上で商品選択を行います。しかし、実際には事業者の表示でありながら、第三者の表示であると誤認する場合、その表示内容に誇張・誇大が含まれることを考慮せず、その結果、消費者の自主的かつ合理的な商品選択が妨げられる恐れがあります。

従って、告示は、事業者の表示でありながら、第三者の表示であると一般消費者に誤認される場合を規制することを目的としています。

告示の対象は、「事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示のように見えるもの」です。つまり、一般消費者にとって明確である、または社会通念上明らかな事業者の表示は、告示の対象外であり、告示は、そのような表示に対する事業者の自由な広告・宣伝活動を妨げるものではありません。

そのため、ステマ規制は、一般消費者にとって明確である、または社会通念上明らかな事業者の表示を規制するものではありません。
 

ステマを判断する7つのステップ


当該表示がステマに該当するかを判断するポイントを以下の7つのステップで示します(下図を参照)。



<つづく>








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