2020.05.18

【プロの落語家に聞く!商いの心構え】第3回「メルマガのまくらの話の作り方」


EC事業者にとって「いかにファンを作るか」は重要な課題です。ファン作りに成功すれば、収益が安定化するだけでなく、口コミによる拡散も期待できます。本連載では、噺家(落語家)の林家正蔵師匠の弟子で、多数の落語会を自ら企画・開催し、ファン作りを日々行っている林家はな平さんに、ネットショップに役立つ「ファンづくりのための情報発信」について聞きます。


第3回「まくらの話の作り方」


Q.多くのネットショップは、メールマガジンを配信しています。メルマガでは、セール情報や新商品の情報のほかに、「近頃熱くなってきましたが、いかがお過ごしですか」のように、一言添えることが多いです。落語で言えば、“まくら”にあたるのではないかと考えます。メルマガでは、どんな“まくら”を考えれば、お客さんの心をつかんでファンにしていくことができるのでしょうか。

 
落語の“まくら”は大きく二つに分かれます。落語の本筋に入るために必要な内容を話すパターンと、世間話のような前振りからそれとなく本題に入るパターンです。

昔は“まくら”と言うと前者しかありませんでした。

それは、落語を作品として楽しむ事が大事だとされていたからです。お客さんが落語を聴く時に重視していたのは、落語家が喋る内容が一番大事だったわけです。だから、作品が良ければそれでも良かったのです。

最近は少し変わりました。作品が良いのは当たり前ですが、「誰が喋っているか」がより重要になってきたように思います。お客さんがまずその噺家のことを知りたいのです。だから先ほどの二つの“まくら”の内、後者の方、つまり世間話のような前振りが好まれるようになって来ました。

落語家の特に若手は、枕で自分を印象付けるために、毎回似たようなことを言う人がいます。私で言えば趣味が唐揚げを作ることなので、唐揚げの話をよくします。落語に関係なくても、唐揚げの話をすることもあります。

毎回唐揚げの話をしていくと、お客さんが「唐揚げの話をするのははな平」と覚えてくれたりします。こういう話をするときは出来るだけ具体的な方が良いですね。その方がお客さんも食い付きます。

ネットショップのメルマガにおいても、最初の一言をあえて毎回同じテーマにしてみるのはどうでしょうか?同じテーマだけど少し変える。そうすればこの話をするのはあのメルマガだなと覚えてもらえるかもしれません。




【林家はな平<プロフィール>】
1984年福岡県生まれ。2007年3月に大学を卒業後、九代目林家正蔵に入門。2011年11月 二ツ目昇進。現在、東京蒲田で開催の「はな平のワンマン」を中心に、都内はもちろん全国各地で公演中。地元福岡でも精力的に活動中。東京都立六本木高等学校では、「落語」授業特別講師も務めている。学習院大学落語研究会顧問。NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」、NHK「立川志らくの演芸図鑑」など、テレビ番組にも出演多数。Twitterアカウント:@Humbug1984

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