2020.05.14

アパレル小売のブルーコムブルー、リアル激減でもEC拡大で売上維持 コロナだから突破できた『2つの壁』とは?

松田英昭社長(写真左)はブランドや社内の連携を深め、コロナの窮地を突破している

インポートアパレルブランドをリアルとネットで販売するブルーコムブルーは、新型コロナウイルス(コロナ)の影響でリアル店舗の売上が激減する中、ECを活性化することで売り上げを維持している。

ファッション業界がコロナショックに沈む中、ブルーコムブルーの松田英昭社長は、窮地だからこそ2つの壁を突破できたという。1つはブランドとの関係を改めて強化し、これまで取り扱っていなかった商品を販売できたこと。もう1つはリアルとネットの垣根を超え、優秀な店舗スタッフがEC運営に加わり、ECを強化できたことだ。

「APPAREL JAPAN PROJECT」始動


ブルーコムブルーが運営するECサイト「etre! par BLEU COMME BLEU(エトル!・パー・ブルーコムブルー)」では、4月からコロナによって売り先を失ったブランドの在庫を販売するプロジェクトを始動した。5月12日からは「APPAREL JAPAN PROJECT(アパレルジャパンプロジェクト)」として、本格展開をスタートしている。プロジェクトではこれまでブルーコムブルーが取り扱っていなかった品番も、ブランドと話し合い、特別に販売することができたという。



「APPAREL JAPAN PROJECT」のメッセージ

松田社長は、「勢いがあるブランドほどリアルの店舗を強化していて、EC化が遅れているケースがある。当社はリアルとECを双方伸ばしてきたので、リアルが大変なときはECでカバーできる。今回は、セレクトショップとしてこれまで扱ってこなかったアイテムも、この大変なときだからこそやり方を変えて、ブランドと協力して販売しようと考えた。お互い成長して、最近あまり話ができていなかったブランドの社長とも、改めていろいろと意見を出し合い、こうした取り組みを実現できた。15、6社くらいのブランドがプロジェクトに賛同し、約20ブランドを販売している」と話す。


松田英昭社長

セレクトショップは、どの商品を顧客に提案するかが肝だ。ただ、ブランドが倒れてしまっては元も子もない。多少これまで扱ってこなかったテイストでも、今回は特別に販売を決めたものもある。

「新たな商品ラインアップは、お客さまからも好評で、ECの売上アップにつながっている。われわれにとってもお客さまの反応は参考になる。今後の商品戦略に役立てたい。ブランドにとっても在庫を販売するだけでなく、新しい顧客との接点ができ、今後の財産になると思う」(松田社長)と教えてくれた。

ブランドと協議し、委託販売形式でリスクを減らしたり、売れ行きがよく在庫がなくなった場合は予約販売に切り替え、顧客に待ってもらって販売するなど、状況に応じて柔軟な販売施策を展開できているという。

リアル店舗のスタッフの力をECに


ブルーコムも営業自粛により、テナントや状況に応じて、店舗を休止したり、時間を短縮したりしている。手が空いたリアル店舗スタッフの力をECに生かす取り組みも行っている。

「リアル店舗のスタッフは普段から商品を提案したり、接客をしているので、提案力やコミュニケーション能力に長けている。そんなスタッフにEC用のコーディネートのコンテンツを作成してもらったり、お客さまからの問い合わせ対応をやってもらったりしている。おかげでコンテンツは充実するし、顧客対応でも接客力あるので販売につながっている」(同)と言う。

リアル店舗から営業を始め、EC展開にも注力している同社だが、事業規模が大きくなるにつれ、リアルとECの事業運営を分けて、それぞれで運営していた。

「そもそもECもリアル店舗が暇なときに、ホームページに『商品でもあげてみるか』という感じで始めたもの。それが、それぞれの事業部が忙しくなり、一緒に取り組む機会が少なくなっていた。今回は原点に帰った感じはある。リアルの強みがECで生かせることを再認識した」(同)と話す。

地域の活性化にもネットの力を


ブルーコムブルーは今後、ファッションだけでなく、地元である富山の特産品や食品などをECで販売支援するの計画もあるという。

「私たちはネットという武器があるから、突破口を見つけることができた。ネットが大変なときにはリアルが助けてくれるかも知れない。両方を持っていることが重要だと考えている。ネットの武器はファッションだけでなく、他でも生かせる。こういうときだからこそ、『業界』や『地域』で普段は超えられない垣根を超えることができる。連携すること大きなことができると思う」(同)と語る。


「etre! par BLEU COMME BLEU」

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