2023.02.02

【「お試し」電話注文からの定期引上は電話勧誘販売に】「特商法政令案」閣議決定に業界から怒りの声も

政府は電話勧誘販売の対象範囲を拡張


政府は1月27日、「電話勧誘販売」に該当する要件を拡大する旨を盛り込んだ、特定商取引法の政省令の改正案について、概ね原案通りの内容で閣議決定を行った。2023年6月1日から施行される。消費者庁によると、健康食品や化粧品の定期通販で、電話でお試し商品の注文をしてきた顧客に対して、広告に記載していないにもかかわらず、本商品の定期購入へと引き上げる提案をした場合、電話勧誘販売に該当するとしている。公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)では、「検討会の審議なく、まっとうな事業者の事業範囲を狭める規制を決めるのは、やり方が汚い」などとして、怒りの声を上げている。


改正特商法の政省令では新たに、電話勧誘販売の対象範囲を拡大した。例えば、ウェブやテレビ・ラジオ広告、新聞広告などを見て電話をかけてきた顧客に対して、クロスセルやアップセルを行う行為が「電話勧誘販売」に該当することになると規定している。「電話勧誘販売」の場合、書面交付義務や、再勧誘の禁止規定など、「通信販売」にはない、義務・禁止行為が多数規定されている。クーリング・オフを受け付ける必要もある。違反すれば、行政処分や刑事罰の対象となる可能性がある。

例えば、テレビショッピングを見て電話して来た顧客に対して、別の商品を販売するクロスセルを行い、電話勧誘販売の書面を交付しなかった場合には、「6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金(併科あり)が科せられる」ことになり、逮捕される可能性すらある。業務停止命令などの行政処分の対象にもなる。見せしめの処分・逮捕などが頻発する懸念もある。

消費者庁では、「Aという商品について、ウェブやインフォマーシャル、新聞で広告する際に、『Bという商品もおすすめする』旨のことが書かれていないにもかかわらず、電話でBの商品を提案した場合、電話勧誘販売に当たる。Aが定期購入の『お試し商品』で、Bが本商品の定期契約でも、それに該当する」(取引対策課)という見解を示している。

消費者庁は「お試し商品を購入した消費者に対して、事業者から電話をかけて、定期購入の契約を薦める場合は、これまで通り電話勧誘販売に当たる。改めて認識してほしい」とも話している。

事業者から消費者に対するアウトバウンドコールによるクロスセルやアップセルの提案は、これまでも電話勧誘販売として規定されていた。

公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)は、「広告掲載商品以外であっても、広告掲載商品の色・サイズ・モデルなどのバリエーショ ンが違う商品など、広告掲載商品の使用に密接に関連している商品については、その勧誘や販売については、不意打ち性はない。広告のスペースの問題もある。健全な事業者のコストが増加し、不利益となる」として、改めて政省令改正案に反対する姿勢を示している。





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