2023.01.27

ベンナーズ、未利用魚のECサイト「Fishlle!」が月商10倍超 ギフティングと毎月発売の新商品が鍵

井口剛志社長

冷凍水産物の通販事業を展開するベンナーズが急成長している。2023年1月度のEC売上高は、前年同月比10倍以上の2000万円を超えた。商品開発や見込み客へのギフティング施策などに注力し、増収につなげた。

ベンナーズは”未利用魚”を使用した食品ECサイト「Fishlle!(フィシュル)」の運営を手掛ける。未利用魚とは、本来食用として提供できるにも関わらず、サイズが規格外だったり、調理方法が不明だったりして、結果的に市場に流通していない魚のこと。



「海にはまだまだ皆さんが知らない魚が多く存在する。マイナーだったり、十分な水揚げ量がなかったりするだけで、未利用魚となり、無料に近い値段で卸売りされたり、廃棄されている。この問題を解決するため、未利用魚を使ったECサイトを開設することにした」(井口剛志社長)と話す。
 
消費者に知られていない商材のため、一般的な海産物通販事業者よりも目を引く販売戦略が必要だった。認知拡大のため、サイト開設時から毎月欠かさず新商品を発売している。他社ではあまり見かけないような独自商品の開発に注力した。

「すだち山椒マリネや中華風カルパッチョなど、消費者が『魚の切り身とは思えない。イタリアンや中華料理なの?』という風に思ってもらうことを目指した。『未利用魚のかす漬け』では、消費者の目を引かないだろう。ユニークな新商品の開発が重要だと考えた」(同)と説明する。


▲ユニークな商品を開発

ギフティング施策にも取り組んだ。未利用魚に興味を持ってくれる人、ひいては魚を好んで食べてくれる人はどのような人なのか、仮説を立てて、商品のギフティングを実施した。

「一例だが、ダイエットをしている人は、ささみを食べて体重をコントロールする。そこを当社の未利用魚に置き換えてみないかと提案した。未利用魚とは何か、当社の商品はなかなか業界内で見かけないメニューであることを伝えて、興味を持ってもらうことを目指した」(同)と話す。

無料のギフティングのため、商品の感想をSNSに投稿するなどの制限は設けなかった。ただ、ギフティングのターゲット層と、珍しい商品内容がマッチし、商品を受け取った消費者の多くが自発的にSNSに投稿してくれたという。その投稿を見た消費者が、「Fishlle!」に訪れて、商品を購入してくれるケースも目立った。

今後も未利用魚の有効活用方法を模索していく。法人向け事業も開始し、ECと卸売りの両面で事業を拡大し、成長を加速したい考えだ。





RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事