2023.01.24

【連載〈第8回〉】価値あるCRM施策とは?顧客視点と理念をつなぐ「メインメッセージ」戦術とLINEの活用


私、工藤一朗(くどう・いちろう)が代表取締役を務める株式会社ライフェックスではこれまで、通販・ECをはじめとした、数多くの企業のブランディングの構築から新規獲得、CRMまでを一気通貫で支援し、成功に導いてきた。この連載では、アフターコロナの新規獲得に関するノウハウを、余すところなくお伝えしていきたい。



前回はCRM活動で、ブランドを適切に伝えていく意味をお伝えした。
 

【前回記事リンク:https://netkeizai.com/articles/detail/7766


今回はブランドアイデンティティー(BI)で決めた要素を、どのようにCRM施策に生かすかの戦術について、お伝えしていきたい。


メインメッセージで顧客視点と理念を一致させる


CRM施策に落とし込む「メインメッセージ」という考え方がある。このメインメッセージに沿った施策設計を作ることが、顧客視点と理念を一致させることにつながる。

メインメッセージは、BIの中の重要な要素だ。

企業・ブランドが、「顧客に対して何を約束するのか(カスタマープロミス)」という重大要素を、新規顧客向けにメッセージとして共有し、伝えていく役割を果たす。

カスタマープロミスは言葉の通り、顧客との「約束」のことだ。いわゆる理念を指す。メインメッセージは、カスタマープロミスで公言したことを「どう実行していくか」、プロミスを果たすための宣言と言える。

つまりカスタマープロミス(理念)が根幹にあり、それを伝えるのがメインメッセージだ。

しかしメインメッセージだけでは、ブランドの理念の全てを伝えきれない。メインメッセージは新規顧客向けに、優先度・重要度を加味して限定された言葉になるからだ。

メインメッセージで伝えきれないものに関しては、「サブメッセージ」で補う。サブメッセージは、購買後や、2回目3回目と購入したリピート顧客に向けて、段階的に伝えるメッセージのことを指す。

そして、このメッセージを具体的なCRM施策に落とし込んでいく。この落とし込みは、自分たちの価値やサービスの領域と、顧客視点をつないでいくような作り方になる。

したがって、カスタマープロミスとメインメッセージというBIにひも付けた施策設計は、顧客視点を踏まえたCRM施策作りには欠かせない考え方や戦術なのだ。


コミュニケーションチャネルの選定「LINEは外せないCRM施策の一つ」


では、メインメッセージをCRM施策に落とし込む時、具体的にどのように設計すればよいのだろうか。

前述したように、メインメッセージは、新規獲得の領域、つまり広告のクリエーティブに反映させるケースが多い。一方サブメッセージは、リピート顧客のCRM施策に反映される。


〈主な事例〉

メインメッセージ・・・新規顧客向け企画の広告など

サブメッセージ・・・メルマガ・同梱物・リピート向けの企画など

 
ここで重要なのが、メッセージを伝えるコミュニケーションチャネルの選定だ。コミュニケーションチャネルとは、メールやLINE、SNSなどを指す。

各企業がコミュニケーションチャネルの選定を迫られている中で、いまだにデータベースとしてあるメールマーケティング1本で行っている企業も少なくない。SNSアカウントはあるが、コミュニケーションツールとしてではなく、あくまで情報発信ツールとして活用している企業も多い。そしてその中で感じるのは、LINEをうまく活用できている企業が非常に少ないということだ。

情報発信だけでなく、顧客とのコミュニケーションは重要である。

しかし、サブメッセージ領域に引き込む上で、顧客を知るという一定のタッチポイントがあまりに少ない。企業が保有する、コミュニケーションに欠かせない顧客のデータベース量が圧倒的に少なくなってきている。それゆえに、価値のあるCRM施策が作れていないケースが散見されるのだ。

この点においてLINEは、一定の顧客情報を取りやすい機能が多く備わったコミュニケーションチャネルと言える。このLINEを活用したCRMは、今後外せない施策の一つとなるだろう。

しかし、実際には、LINEを活用していても、クーポン配布一辺倒の施策しか練られていないケースも多く、非常にもったいないと感じている。

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