2023.01.23

【有識者に聞く!2023年の市場展望<健康食品・化粧品>】クリームチームマーケティング 山口尚大代表「2023年こそブランディングが鍵を握る」


クリームチームマーケティングは健康食品と化粧品のコンサルティング業務を展開している。同社の山口尚大代表に2022年の健康食品と化粧品通販業界を振り返ってもらいつつ、同業界の課題、そして課題に対する解決策などを聞いた。


2022年の健康食品と化粧品通販業界の課題は、やはり「CPO(新規顧客獲得単価)の上昇」「法規制」「デジタルマーケティング(デジマ)分野での人材不足」が挙げられるだろう。

「CPO」は私がコンサルティング事業を開始してから15年、毎年右肩上がりに増加している。ウェブ広告は入札制で、コロナ禍でEC事業者が増えたこともあり、広告費は高くなってしまっている。そのため、「CPO」が高くなるのは至極当然なことだ。

2022年は当社のクライアントでも売り上げに占める広告費の割合が、50%を超える企業もあった。業界の平均が10〜20%であるため、2022年は特に「CPO」が極端に高騰した。

「法規制」は「特商法の改正」「ナンバーワン表示」など多くの法規制に関わるトピックスがあった。12月に入ると、新たな問題も表面化した。

消費者庁は11月30日、「特定商取引に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」を発表し、パブリックコメントの受け付けも開始した。テレビショッピングなどの注文時の電話で、別の商品を勧めたり、定期購入を勧めたりする行為も電話勧誘販売に該当すると新たに規定した。

最後の課題は、2022年に限ったことではないが「人材不足」だ。特にSNS広告やウェブ広告などデジマ分野に精通した人材が少ない。通販業界全体でデジマに強い人材が不足しているため、募集をしても応募自体が少ないのだ。

それぞれの解決策として、まず2023年も「CPO」が劇的に下がることはないだろう。そのため「CPO」の平均値を考慮し、広告を運用するという新たな事業計画を考案する必要がある。新たなマーケティングツールを探すのではなく、現実を直視し、「CPO」が上がっている中での事業戦略の考案が何よりも重要だ。

2023年も何かしらの「法規制」は行われるだろう。これに関しては対策というよりかは、きちんと法令遵守するしかない。最後に「人材不足」は、当社がコンサルティング業務を行っていることもあるが、コンサルティングなどで、その分野に特化した人材を招くことも有益だろう。

個人的に2023年はより「ブランディング」が鍵を握ると感じている。「法規制」で商品の魅力訴求も制限があり、商品は似通ってきている。「CPO」も高騰しており、差別化がより一層重要になってくる。そのためにも今一度マーケットインではなく、プロダクトアウトで、ブランド設計を見直す必要がある。

市場を調査し消費者が何を求めているのかを分析することよりも、「この商品を発売したのは私の過去のこの実体験が影響している」というように、プロダクトアウトにすると、ストーリーもでき、その人にしか開発できない商品になる。その結果、市場で流通していない商品を開発でき、差別化につながるはずだ。



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