2022.12.07

アドビ、ホリデーシーズンのECデータ公開 サイバーマンデーの消費額は113億ドルで過去最高

アドビは12月2日、2022年のホリデーシーズンにおけるオンラインショッピングデータを発表した。ホリデーシーズンの消費額は353億ドルに到達し、過去最高を更新。オンラインショッピングの活発化に伴い、消費者にとってより柔軟な支払い方法である後払い決済(BNPL)による売上が88%増加したことなどを公開した。

アドビはこのほど、感謝祭、ブラックフライデー、サイバーマンデーを含むショッピング期間であるサイバーウィーク(11月24日~28日)期間のオンラインショッピングデータを調査し、2022年のホリデーシーズンにおけるオンラインショッピングデータとして発表した。

調査には、アドビの分析ソリューション「Adobe Analytics」を通じて得られたオンラインでの商取引データを使用した。「Adobe Analytics」は「Adobe Experience Cloud」の一部であり、米国のインターネット小売業者上位100社の85%以上が、オンラインでのショッピング体験の提供・測定・パーソナライゼーションを行うためにこのソリューションを利用している。
今回の分析は、コマースの状況を示す最も包括的な分析として、米国の小売サイトへの1兆回以上の訪問、1億個のSKU、18の製品カテゴリーから得られたデータに基づいている。

2022年のサイバーマンデー(11月28日)の消費額は113億ドルで、前年同期比5.8%増となった。結果として2022年のサイバーマンデーはシーズン中や年間を通してだけでなく、歴史上最高額のオンラインショッピングの日となり、ピーク時(太平洋時間の午後8時~9時)には毎分1280万ドルが消費された。過去最高の消費額となった11月24日の感謝祭(52億9000万ドル、前年同期比2.9%増)と11月25日のブラックフライデー(91億2000万ドル、前年比2.3%増)にも後押しされ、サイバーウィーク全体の消費額は353億ドル(前年比4%増)に達した。多くのカテゴリーで実施された大幅な値引きが寄与したとしている。

2022年のホリデーシーズンは好調なスタートを切っており、11月28日時点で消費者はすでに1077億ドルをオンラインで消費し、前年同期比8.7%増となっています。割引の前倒しと実施回数の増加により、これまでに1日のオンライン消費額が20億ドル超えを達成したの日数は8日、30億ドル超えは20日を数えています。アドビは、ホリデーシーズン全体の消費額が前年比2.75%増の2101億ドルに達すると予想している。

サイバーマンデーでは、2022年10月の平均的な日と比較してオンライン売上が684%増加した玩具をはじめ、エレクトロニクス(同391%増)、コンピュータ(同372%増)など、長年人気のあるカテゴリーが記録的な消費を牽引した。その他、スポーツ用品(同466%増)、家電製品(同458%増)、書籍(同439%増)、宝飾品(同410%増)などのカテゴリーで強い需要が見られた。

サイバーマンデーで最も売れたのは、玩具では「ポケモンカード」「レゴ、ホットウィール」(ミニカー)、「ミラベルと魔法だらけの家」関連(キャラクターグッズ)、「LOL Surprise Dolls」(ファッションドール)、「ココメロン ~うたってまなぼう~」関連(キャラクターグッズ)、「うまれて!ウーモ」(育成型ペット玩具)などだった。ゲーム機本体では、「PlayStation 5」「Nintendo Switch」「Xbox Series X」、ゲームでは、「FIFA 23」「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」「Madden NFL 23」「NBA 2K23」「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」などが上位にランクインした。サイバーマンデーのその他の売れ筋は、スマートテレビ、Apple AirPods、Apple MacBook、タブレット、スマートウォッチ、インスタントポット、エアフライヤーなどだった。

Adobe Digital Insights担当の主席アナリスト、ヴィヴェク パンドゥヤ(Vivek Pandya)氏は、「商品が供給過剰でありながら、個人消費が抑制的である状況を受け、小売業者は今シーズン、大幅な値引きによって需要を喚起するという正しい判断を下しました。これにより、オンライン消費は予想以上のレベルにまで加速し、大量購入を促し消費者の興味を引きつけられる主要販売チャネルとしてのEコマースの地位が強化されたことになります」と述べた。

その他のインサイトとして、過去最高を記録した値引き率、モバイルショッピングが再び脚光を浴びたこと、後払い決済が消費者に消費者に柔軟性を提供したこと、駐車場受け取りサービス(Curbside Pick Up)の利用の減少、マーケティング投資やインフレの影響にも言及した。

2022年のサイバーマンデーでは、エレクトロニクスにおいてピーク時に表示価格から25%の値引き(2021年の値引きは8%)という大幅な値引きが実施された。その他、玩具が34%オフ(同19%)、コンピュータが20%オフ(同10%)、テレビが17%オフ(同11%)、アパレルが18%オフ(同13%)、スポーツ用品が10%オフ(同6%)、家具が8%オフ(同2%)、家電が16%オフ(同4%)と、アドビが調査するすべてのカテゴリーでディスカウントが行われた。

2022年の感謝祭では、オンライン販売の55%がスマートフォン経由となり、モバイルショッピングの割合は過去最高を記録した(2021年の51%から上昇)。サイバーウィークでもモバイルショッピングは好調で、全体の51%(46%から上昇)と同期間において初めて売上の大半を牽引、サイバーマンデーで43%(40%から上昇)となった。この好調な伸びは、小売業者による顧客体験への投資により、この数か月でモバイルショッピングがいかに改善したかを示している。

サイバーウィーク期間中、前週と比較し、後払い決済を利用した注文は85%増加、売上は88%増加しました。 不透明な経済環境が続くなか消費者は、後払い決済の利用を始めたとしている。

より多くの消費者が実店舗で買い物をする傾向にあり、サイバーウィーク期間中の駐車場受け取りサービスの利用は控えめになった。感謝祭とブラックフライデーの両日、オンライン注文のうち、このフルフィルメント方式が利用されたのは13%に留まり、前年の21%から減少した(同サービスを提供している小売業者の場合)。サイバーマンデーでは、オンライン注文の17%で駐車場受け取りサービスが使用され、2021年の18%から減少した。

サイバーウィーク期間中、小売企業の主要マーケティングチャネルにおいて引き続き売上に最も貢献したのは検索連動型広告(オンライン売上高の28%)だった。ダイレクト流入(同18%)、アフィリエイト/パートナー経由(同18%)、電子メール(同17%)、オーガニック検索経由(同15%)も主要な貢献者となった。SNSに直接起因する収益は、サイバーウィーク期間中の総売上の5%未満に留まったものの、そのシェア率は前年同期比27%増となった。

サイバーウィーク期間中の堅調な消費者支出は、上昇した商品価格だけではなく、新規の需要増加によってもたらされた。18カテゴリーのEコマース価格を追跡する「Digital Price Index」(DPI)によると、ここ数か月、オンライン価格はほぼ横ばい(2022年10月は前年同月比0.7%減)であることがわかった。アドビの数値はインフレ調整されていないが、オンラインのインフレを織り込んだとしても根本的な消費者需要の伸びはあると思われるとしている。




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