2022.11.16

【データに見る「ECの地殻変動」】<第8回>目指すは越境EC版「リアル二刀流」

2022年の大きな経済トピックの一つは円安だろう。国内経済の状況に利上げへの動きは見られず、当面は円安が続きそうだ。物価高に直結する状態は、しばしば悲観的に報じられるが、輸出産業にとって円安はプラス。越境ECも輸出の一部なので、越境ECへの期待を膨らませる事業者が多いことは想像に難くない。

今回は急激な円安であったため準備が間に合っていないかもしれないが、この状態が長期化すれば越境ECへの参入事業者はさらに増加するのではと思う。

日本からの越境ECといえば中国人消費者向けが真っ先に思い浮かぶ。経産省によれば、2021年の日本から中国人消費者に向けた越境ECの市場規模は2兆1382億円。コロナ禍も増加し続け、遂に2兆円を突破した。

参考までに2019年の訪日中国人による宿泊、買い物、飲食等インバウンド消費総額は1兆7704億円なので、すでに越境ECが大きく上回っている。この数字から中国人消費者向けの越境EC市場規模の大きさを感じ取ることができるだろう。

以上のことから今後も中国向けの越境ECには期待が寄せられる。しかし、それのみの一本足打法には経営リスクがありそうだ。中国向けは日本国内の事業者だけでなく、米国や韓国など諸外国も注力しており競争が激しい。自社商材の埋没も十分想定される。

また最近、中国のZ世代を中心に自国ブランドを好む「国潮」というトレンドも強まっているという。日本の商材ニーズが著しく低下することはないだろうが、中国の消費者マーケットを見誤ると失敗することもあるだろう。

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