SOMPOケアフーズは2021年7月から、冷凍総菜のECサービス「食楽膳」を提供している。「食楽膳」は2014年から展開しているが、注文方法は電話とファクシミリが中心だった。高齢者や障害のある人がいる家庭が主なユーザーだ。
コロナを機に、高齢者と離れて暮らす家族から注文が入ることが増えたという。「高齢者の子どもは40~50代でウェブ注文に抵抗がない。この世代に認知してもらうためにはECサイトやウェブ広告が必要不可欠だった」(食楽膳事業部部長・開田剛史氏)と話す。
同社は高齢者施設への配食事業も行っている。一時は施設向けサービスに力を入れていたが、今後は施設だけではなく、在宅向けにも力を入れていくというグループの方針のもと、2020年から再び「食楽膳」の運営も強化することにした。高齢者向けの通販は今後も需要が見込めるほか、コロナ以降、「食」のECに注目が集まっていることも踏まえた。
施設でのノウハウを生かし、料理はムースタイプやピューレタイプなども展開している。人によりかむ力や嚥下(えんげ)力が異なるため、さまざまな人に対応している。多くの人の好みをもとに味付けもしている。
2022年5月から、新商品「食楽膳プラス」の販売も開始した。高齢者の家には、煮物など副菜は多くあるため、主菜に特化して商品化した。家にある総菜と合わせて利用してもらいたい考えだ。
▲商品の盛り付けイメージタンパク質とカロリーを摂取できる仕様にしているが、プロテインなどは使用せず、全て食材で解決していることもこだわりのポイントとしている。
年金だけを収入としている人が多いため、1食税込340円からと安価にした。物価高騰の影響を受けているが、「生活の負担にならないようにしたいので、値上げはしていない。販売食数と売り上げの向上でカバーしたい」(同)と話す。
「食楽膳」は施設への販売も行っている。デイサービスの昼食時、施設利用者が食べたい物を選ぶセレクトメニューとして利用されている例もある。「施設はどんどん増えている。差別化を図る点でも利用してほしい。家も施設も『食』の面を支えていきたい」(同)。