2022.11.15

【メーカー奮闘記】「カリモク家具」、わずか2カ月でEC開設 便利なお買い物体験で今期170%成長へ

写真左からEC事業チームの鈴木里紗氏、営業推進部の花井博司部長、EC事業チームの澤井敏幸氏


木製家具メーカーのカリモク家具は2020年7月、ECサイト「カリモク家具オンラインショップ」を開設した。同社初の直販サービスは、社命を受けたメンバーがわずか2カ月で立ち上げたものだった。開設当初は1日の売上高がゼロの日もあったという。ショールームで提供する接客サービスをECサイト上でも再現するべく、担当者が社内へ掛け合い、少しずつ品ぞろえとサービスを増やしていった。その他にもUGC(ユーザー生成コンテンツ)や動画コンテンツも拡充している。ゼロから立ち上げたECサイトは少しずつ認知が広がり、売り上げも伸びている。今期(2023年3月期)はさらなる拡大を目指しており、170%の成長を狙う。営業推進部の花井博司部長、EC事業チームの澤井敏幸氏、鈴木里紗氏にECサイト立ち上げの苦労やコンテンツ強化の戦略、デジタル活用で目指すビジョンについて聞いた。



コロナ禍に今後を見据えてECサイト開設


――カリモク家具の事業内容について教えて下さい。

澤井:創業者の加藤正平が1940年に愛知県刈谷市で木工所を創業したのが始まりです。木製品の加工業を営んでおりましたが、そこで培った技術をもとに1960年代にオリジナルの木製家具の製造を開始、「木とつくる幸せな暮らし」をグループミッションに掲げ、「品質至上」の理念のもとに、機械による高度な加工と職人の技を融合させた「ハイテク&ハイタッチ」の家具作りに取り組んでいます。

また、安心安全、環境配慮の観点から日本家具産業新興会が定める国産家具表示認定の基準を満たした製品を作っています。


▲機会による高度な加工と職人の技を掛け合わせた家具作りを行う

公式オンラインを開設するまで、卸売業でお客さまに直接家具の販売はしておりませんでしたが、お客さまが商品を体感していただけるショールームを全国25カ所に展開、修理・メンテナンス事業も展開しております。

――2020年7月にECサイトを開設したきっかけは?

花井:コロナ禍になり、これからのマーケットを考えたときにデジタルを通じた顧客接点が重要だと考え、オンラインで直販するチャネルとしてECサイトを開設しました。ショールームなどで「カリモク家具から直接買いたい」という声は寄せられており、そのニーズも背景にはありました。

当初、会社からは「来月からEC販売を開始しよう」と言われましたが、さすがにそれは難しいと考え「4カ月はください」と言いました。ただ、それは認められず、突貫工事で2カ月ほどで立ち上げました。


▲わずか2カ月で立ち上げた「カリモク家具オンラインショップ」

――開設してすぐに売り上げは伸びましたか?

花井:小売をおこなったことないメンバーが、右も左も分からない中で、お客さまに満足してもらえるECサイトを作らないといけなかったので、大変な面もありました。最初は棚に商品を並べただけのECサイトでした。

販売する商品も80品番のみと限られており、それ以外は「お取扱いしない」というスタンスでしたので、お問い合わせをいただいても、「販売できません」とお断りさせていただくケースもありました。

そういった状態でしたので、最初からすべてのお客さまにECサイトをご利用いただけたわけではなく、売り上げがゼロの日もありました。

――売り上げを伸ばすためにどのように改善していったのですか?

澤井:お客様よりECに掲載のない商品購入のご希望をいただいていたので、まずは販売できる品番数を増やせるように社内調整を進めました。徐々に社内の理解を得ることができ、販売できる品番数が増えていきました。現在は掲載品で約500品番、お客様ごと個別に対応した商品も含めると、1000品番以上はあると思います。

他にもECサイトのコンテンツも強化していきました。「便利なお買い物体験」をコンセプトにサイトを運営しており、お客さまが探している商品を見つけやすく、スムーズに購入できるかを考えて、サイト改修を進めていきました。

その中でこの商品を「家に置いたらどうなるのだろう」「カラーコーディネートはどうしたらいいのだろう」というお客さまのご要望にお応えするため、2021年5月にビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo」を導入しました。

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