2022.10.13

【進むEC企業のコミュニティー活用】「タマチャンショップ」「富澤商店」が開設 狙いは『LTV向上』『サステナブル』


EC事業者のユーザーコミュニティー活用が、盛り上がりの兆しを見せている。自然食品のECサイト「タマチャンショップ」を運営する九南サービスは今年8月、ユーザー向けコミュニティーサイト「タマリバ」の本格展開を開始した。製菓・製パン材のECサイトを運営する富澤商店も今年10月、コミュニティーコマースサイトを開設する予定だ。ユーザーと密に情報共有や交流できる場を設けることで、ファンの拡大を図る。富澤商店は「LTV向上」が狙いだと言い、九南サービスはサービスの「持続可能性(サステナブル)の追求」が目的だと言う。



8月にコミュニティーサイト「タマリバ」を本格展開


九南サービスは今年7月、コミュニティーサイト「タマリバ」をプレオープンし、8月から本格運用している。


▲コミュニティーサイト「タマリバ」

九南サービスの田中耕太郎副社長は、「最終目標は会社とお客さまの垣根がなくなり、商品開発や企画が自然に発生する状況を作ること。今後、日本の人口が減少し、リソース不足が必ず生じる。自分もいつまで仕事ができるか分からない。事業やサービスの持続可能性を考えたときに、お客さま巻き込み型のビジネスの在り方が必要だと考えた」と話す。

宮崎に本社を構える九南サービスだが、全国の「タマチャンショップ愛」にあふれたお客さまを味方に付けることで、より強い運営体制を築けると考えたようだ。

「もし海外の大企業に飲み込まれそうになったときも、当社のメンバーだけでは負けてしまうかもしれない。しかし、もし応援して下さるお客さまが1000人いたら、1000人以上の組織で立ち向かうことができる。商品開発などさまざまな面で、大企業以上のパフォーマンスを実現できるかもしれない」(田中副社長)と期待している。


▲九南サービス 田中耕太郎副社長


世界観作り、参加者の熱量高める


会社の枠を超えたコミュニティーを構築するため、開設時には「タマチャンショップ」に関するSNS投稿に熱心なコアユーザーに参画してもらった。顧客が求めるものをヒアリングし、一緒にコミュニティーを作り上げている。

8月に本格オープンしてからも、一気に参加者を集めるのではなく、既存顧客に少しずつ呼び掛けていった。コミュニティーのコンセプトを理解したユーザーが世界観を作っていったことで、後に続くユーザーも世界観を理解し、想像以上の濃い情報共有がなされているという。

「コミュニティーサイトのトップページでは、食の魅力やしあわせをシェアしていきたいというコンセプトを伝えている。『他のユーザーを否定しない』というガイドラインも設けているが、今のところ大きな問題はない。初期の参加者さんとは密に情報共有しており、改善点や問題点などがあれば、すぐに対応できるようにしている」(同)と話す。

参加者は自ら投稿したり、他のユーザーの投稿にコメントや「いいね」したりすることで、ポイントをためることができる。ポイントに応じてランクが上がり、公式ショップでのポイント付与率が最大8倍になったり、魅力的なギフトをもらえたりする。

「現在、ランクは10段階設けているが、すでに9ランクまで来ているユーザーがいる。当初、10ランクまで2年は掛かると想定していたが、もっと早く到達しそうだ。参加者の熱量の高さに驚いている」(同)と言う。

現在、約500人が参加している。年内に1000人、来年には5000人以上の参加者獲得を目指している。

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