2022.10.07

【インテリアEC特集】広がる家具のリペア市場 SDGsが追い風、LTV向上に寄与

インテリア業界では近年、「リペア」が広がりつつある。新型コロナウイルスの感染拡大が広がった2020年以降、家具やソファを修理するユーザーが増加。今使っているものを長く、大事に使うニーズが顕著化し、メーカーや修理を行う工場の職人などにリペアの依頼が増えているという。SDGsに対する意識の高まりも市場を広げている。リペア事業を本格的に開始する総合家具メーカー、カリモク家具ではスキームの構築を進めている。メーカーの参入は今後も増えそうだ。


<CONTENTS>
・【カリモク家具】修理事業を本格展開へ LTV向上で満足度アップ
・【AZUMA】リペアの産業化を目指す 顧客管理の重要性を説く
・【マルニファニシング】豊富な実績、70年前の品も リノベ家具のECも開始
・【リペア調査データ】テーブル、椅子のニーズ高まる



コロナ禍が購入ニーズ拡大の契機


コロナの感染拡大が2020年上旬に始まり、在宅ワークが定着化した。同時に、仕事と普段の生活を両立しようと、住空間の見直しが進み、ソファ、テーブル、チェアなどインテリア商品を新たに購入するニーズが伸びた。

一方、住空間の見直しは新しい商品を買うだけでなく、今使っているものを修理に出して、新たに使うリペアの需要も増加。家具メーカーを中心に修理依頼が増えただけでなく、修理を地域で展開する町工場の店舗にも、リペア依頼が急増している。


「愛着」を優先するユーザーが修理を依頼


家具やソファの修理は、内容によっては新品で買うよりも高くなってしまうことも多い。しかし、修理を依頼するユーザーは「愛着」を優先している。「家族で代々使ってきた」「思い出がある」など、修理を依頼する理由はさまざまだ。

修理する側はユーザーのこうした思いに寄り添い、契約に結びつける。修理の問い合わせから、納品までの長い期間、顧客とコミュニケーションを図っている。完成後の引き渡し時に喜ばれ、他の家具の修理も依頼する「優良顧客」になるケースが多いという。


市場拡大には技術や人材が課題


リペア市場の広がりに欠かせないのが、修理する技術力だ。家具メーカーや修理店によると、家具やソファを直す技術を習得するためには3~5年の月日が必要だという。技術の継承に要する時間と若手の人材が必要となる。時間と労力以外にも、将来性や給与なども重要になってくる。リペアを一つの産業に育てていくためには、働く環境の整備が欠かせないようだ。

総合家具メーカーのカリモク家具が、リペア事業を本格的に展開していくことは、リペア産業の発展につながりそうだ。修理対応している家具メーカーの対応には温度差があり、修理に必要な材料がないこともある。材料が滞ると、修理を依頼したユーザーの満足度を高めることは難しい。メーカーであるカリモク家具がリペアに取り組めばこうした状況を変える流れになる可能性がある。カリモク家具でも修理のニーズは増えており、SDGsの観点からや顧客満足度のさらなる向上を目的に、一つの事業部として展開することにした。

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