新規獲得の戦略にBIを矛盾なく落とし込む
新規顧客獲得のための、カスタマージャーニーやパーセプションフローにおいて注意すべき点について述べたい。
まずはブランド・アイデンティティー(以下BI)を最初に決める。
そして最も大切なのは、最初に決めたBIのすべてが、カスタマージャーニーやパーセプションフローに、しっかりと反映されていることである。BIを決めただけでは意味がない。BIが、しっかりお客さまとの共有事項にならないといけないからだ。
そのため「しっかり反映されているか」というところに、まずは注力しなければならない。新規顧客獲得の戦略においても同様だ。しっかりとBIの考え方が矛盾なく、漏れなく体現できているかが重要だ。
とはいえ、新規獲得の領域でBIのすべてを伝えることは難しい。メインメッセージ領域とサブメッセージ領域に分けることも必要になってくる。いわゆる新規フェーズと既存フェーズに分け、初動で言うべき領域」と「初動以降に言うべき領域」を分ける必要性があるということだ。
初期の段階は、いかに効率よくコンバーションを得るかが大切であるため、伝えるべき内容の精査をする。最初にBIを伝えきれなかったところを、コンバーション以降で伝えていく流れだ。いわゆるそれがCRMと呼ばれるところであり、私の考える「新規獲得とCRMは分けて考えるべきではない」ということにつながっていく。
CRMは新規獲得も有効である
今までの商品・サービスの認知(商品を知るきっかけ)は、口コミや・広告が一般的であった。しかし、今はSNSの普及で、購買前から広告以外のコミュニティーで商品を認知するケースが非常に多くなった。このことから顧客関係管理(CRM)が、今までの「購買後の既存領域」から一気に「購買前の認知領域」に広がったと考えている。
CRMは顧客との関係を管理して、既存客に継続してもらうための施策として用いられることが多い。従来は、「CRM=リピート戦略」と捉えられることが多かったが、「CRMは新規獲得においても有効である」というのが私の考えだ。
顧客データを活用するCRMは、既存顧客に対する施策として認知されている。CRMがリピート戦略に大切であることは確かである。
しかし「顧客関係管理」というように、新規顧客・既存顧客という話ではなく、新規獲得前の認知やコミュニケーションの段階からCRMは重要なのではないだろうか。