2022.09.21

【インタビュー】DGフィナンシャルテクノロジー 猪嶋宏丞氏「円安を成長の好機に 増加する『海外消費者向けの越境EC』」

DGフィナンシャルテクノロジー 営業本部加盟店営業部 猪嶋宏丞副部長


円安の影響によって“海外消費者が国内サイトに購入しに来る越境EC”が盛り上がりを見せている。決済代行のDGフィナンシャルテクノロジー(以下DGFT)によると、同社の国内EC加盟店が導入する海外消費者向けの決済手段「Paypal」「Alipay国際決済」「銀聯(ぎんれん)ネット決済」の取扱高が、右肩上がりの成長を見せているという。2020年1~6月と比較すると、3種類の決済の合計取扱高は、45%増加しているとしている。これらは中国や欧米圏など海外から、日本のECサイトへと流入している顧客による購入だとみられる。DGFTの営業本部加盟店営業部の猪嶋宏丞副部長は、「国内では、海外向けのECサイトを新たに開設するなど、円安を利用したビジネスをしたいという企業が増えている」と話す。猪嶋副部長に、“海外消費者向けの越境EC”市場の成長について聞いた。


前年比で成長率は30%を記録


――海外消費者が日本のECサイトに来訪して購入する越境EC市場が拡大していると聞きました。


右肩上がりに順調に成長していると考えられます。

当社の加盟店のECサイトに導入された、「Paypal」「Alipay国際決済」「銀聯ネット決済」の3種の決済手段の合計の取扱高を集計したところ、2022年1~6月は、2020年1~6月と比較して45%増加、2021年の1~6月との比較では、30%増加していました。この3種は、中国や欧米圏の消費者が、利用することが多い決済手段です。コロナ禍おける各国間の人流抑制に加えて、日本の円安が急激に進んでいることが背景にあるものと認識しています。日本国内のユーザーが使っている割合は、ごく少ないものだと考えられます。

流通額の増加が代表的な商材としては、高価格である、ハイブランドのバッグや靴など、アパレル商材が挙げられます。アニメや漫画といったデジタルコンテンツや、ゲームなどのキャラクターグッズも流通額が増加しています。

購入単価が高まっていることも特徴的です。中国人向けの決済手段では、2021年7~12月の平均利用単価が5000円程度でしたが、2022年1~6月では、3万円台になりました。1年足らずで6倍になっています。


中国・米国が2大ターゲット


――海外から国内サイトに流入するタイプの越境ECの市場は大きいのでしょうか。


経済産業省の市場調査によると、2021年の越境EC市場規模は、日本から中国への販売額が、前年比で9・7%増の2兆1382億円でした。米国に対しては、同25.7%増の1兆2224億円でした。中国と米国が、越境ECの2大ターゲットと言えます。

越境ECというと、現地のECモールに出品したり、商品購入と海外発送を代行する購入代行サービス・転送サービスを活用したりする方法が比較的手軽で、一般的です。ただ、現在のこうした円安の状況などもあり、日本国内で、海外から流入した消費者を受け入れられるECサイトを立ち上げるケースも増えています。

英語や中国語に対応した、日本のドメインのECサイトを立ち上げるケースもありますし、現地のドメインで現地の言語でECサイトを立ち上げ、在庫管理や決済手段は国内で構築するというケースもあります。その形式やニーズはさまざまです。
 
DGFTでは、前述の3種の決済手段を提供できるだけでなく、21種類の外貨に対応した「多通貨クレジットカード決済」の提供も行っています。ですから、海外の消費者向けのECサイトの立ち上げに際しても、最適な決済手段を提供できるのです。越境ECサイト構築システムの提供事業者やコンサルティング事業者など、越境EC事業を支援するパートナーとも連携しています。越境ECビジネスを展開したいという加盟店の要望に合わせて、最適な提案ができます。
 
海外消費者向けの越境ECを考えたとき、最初は、決済手段に目が届きづらいかもしれません。ただ、国内のECを考えても、顧客ニーズに応じた決済手段の提供は、最後の差別化の手段になると言えるでしょう。例えば、中国のユーザーが来訪したときに、「Alipay」の決済手段がなければ、カゴ落ちに直結するといってもいいでしょう。

新規に海外向けビジネスを始める際には、決済手段も重要な要素であることを意識すべきではないでしょうか。


■「VeriTrans4G」越境EC向け決済サービス
https://www.veritrans.co.jp/payment/international.html







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